序文

「平行多面体元素定理」を用いてつくられた立体
「超一流の人間には、すぐに見てわかる共通点がある」とは、どこの大学教授の弁だったろう、「明るい・子どもっぽい・淡々としゃべる」だそうだ。なるほど〜・・・とうなってしまった。これまで当コラムに登場してくださった方は、職業を問わず、この三要素が当てはまるように思う。「なんだ、そんなこと」と思われるかもしれないが、試しに「この人デキる」と思う知人を思い浮かべていただくと、三拍子全てが整う方は、滅多にいないのではないか。
特に「子どもっぽい」が難関で、たいがいは社会に出るとオトナの鎧で身を固め、子どものようにコーフンし、夢中になり、フシギがる心が縮こまる。そして、カッコつけたコラムを書きたがったりする(反省)。
一流と呼ばれる方は確かに子どもっぽい・・・というより、子どもめいた無邪気さや熱心さで、自分の取り組みを、とっておきのおもちゃを披露するように語る。だから人を惹きつけるのか。それでいて常に自分を肯定しているので、感情が穏やかで、恬淡としている。「明るい」は、仕事に限らず、人生を前向きにつくる条件であることは異論がないだろう。というわけで、この三要素は、初対面で“超できるヒト”を一瞬で見抜く「定理」になるのではないか。・・・「証明」はできませんが。
秋山仁教授に初めてお会いしたときも、「インテリジェンスに裏打ちされた、静かな茶目っ気」が印象的だった。話される言葉が詩的であることにも感心した。テレビでおなじみ、ギョロ目をむいて口角泡を飛ばして講義される印象が強かったが−−。楽曲のように整合性のある語り、一定の美しいアルゴリズムのようなものがあるのは、数学を極めた方だからなのか。先生は今、自らを“数学詩人”と称している。
「世間の目にはどう映るか知らないが、私自身は、真理の大海は発見されないままで私の眼前に横たわっているのに、砂浜で遊びながら ときどき普通よりも滑らかな小石や美しい貝殻を見つけて楽しんでいる、一人の少年にすぎなかったように思う」
これはニュートンの言葉。この偉大な数学者も、ただ明るく子どものように、恬淡と自分の仕事を語っている。
(以下、敬称略)
唯言その一
◆努力は報われず、正義は滅びる
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