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宅ふぁいる便 > 宅ふぁいる便エンタメ【トップ】 > 早川さや香のプロフェッショナルの唯言(ゆいごん)

〜濃く熱く、ひたむきに生きる仕事人に聞くライビング・メッセージ!〜
第13回 秋山仁氏(理学博士・数学者)

よく死ぬこと=よく生きることだと言います。
各界の一流仕事人の人生観・死生観にせまる連続インタビュー第12回目は、
「受験の神様」、「数学渡世人」こと秋山仁教授の"唯言"をお届けします。

《唯言人》秋山仁氏の半生

◇1946年、東京生まれ。中学、高校、大学と受験で志望校に落ちまくる
◇1969年、東京理科大応用数学科を卒業
◇1972年、上智大学大学院修士課程を修了するも、職がなく転々とする日々
◇1973年、日本医科大に助手として就任。独特の講義が話題を呼び始める。5年後に助教授に抜擢
◇1978年、ミシガン大学に留学。フランク・ハラリー教授に師事し、厳しい指導を受ける
◇1982年、日本でグラフ理論を扱った初の学位論文が受理され、東京理科大学から理学博士号取得。国内におけるグラフ理論・組合せ理論発展のパイオニアの一人となる
◇1991年、NHK教育テレビ高校数学講座の講師をはじめ、斬新な数学の解説で「バンダナ先生」と呼ばれ大人気に
◇2010年現在、東海大学教育開発研究所所長、ヨーロッパ科学院会員、NPO法人体験型科学教育研究所理事長など多数の役職を務める。専門誌に100編以上の論文を発表、著書は約90冊におよぶ。最新刊『こんなところにも数学が!』(扶桑社)、『数学ワンダーランドへの1日冒険旅行』(近代科学社)、大好評発売中。


◆バカは、ゆっくりとしか進めないが、たまに小さくても美しい真実を見つけられる。

 できる人というのは、マラソン・コースをバイクで走る人である。素早くゴールインできるが、道の傍らに咲くきれいな花を見つける余裕はない。
 オレは地べたにはいつくばって、42,195kmの道のりを1cm、また1cmと進んできた。だから、道端に咲くさまざまな可憐な花々、美しい花々を愛でることができた。その花々が、離散数学の分野でオレがつくった定理の数々だった。
(『秋山仁の 落ちこぼれは天才だァ』/講談社より)

序文

「平行多面体元素定理」を用いてつくられた立体

「超一流の人間には、すぐに見てわかる共通点がある」とは、どこの大学教授の弁だったろう、「明るい・子どもっぽい・淡々としゃべる」だそうだ。なるほど〜・・・とうなってしまった。これまで当コラムに登場してくださった方は、職業を問わず、この三要素が当てはまるように思う。「なんだ、そんなこと」と思われるかもしれないが、試しに「この人デキる」と思う知人を思い浮かべていただくと、三拍子全てが整う方は、滅多にいないのではないか。

 特に「子どもっぽい」が難関で、たいがいは社会に出るとオトナの鎧で身を固め、子どものようにコーフンし、夢中になり、フシギがる心が縮こまる。そして、カッコつけたコラムを書きたがったりする(反省)。

 一流と呼ばれる方は確かに子どもっぽい・・・というより、子どもめいた無邪気さや熱心さで、自分の取り組みを、とっておきのおもちゃを披露するように語る。だから人を惹きつけるのか。それでいて常に自分を肯定しているので、感情が穏やかで、恬淡としている。「明るい」は、仕事に限らず、人生を前向きにつくる条件であることは異論がないだろう。というわけで、この三要素は、初対面で“超できるヒト”を一瞬で見抜く「定理」になるのではないか。・・・「証明」はできませんが。

 秋山仁教授に初めてお会いしたときも、「インテリジェンスに裏打ちされた、静かな茶目っ気」が印象的だった。話される言葉が詩的であることにも感心した。テレビでおなじみ、ギョロ目をむいて口角泡を飛ばして講義される印象が強かったが−−。楽曲のように整合性のある語り、一定の美しいアルゴリズムのようなものがあるのは、数学を極めた方だからなのか。先生は今、自らを“数学詩人”と称している。

「世間の目にはどう映るか知らないが、私自身は、真理の大海は発見されないままで私の眼前に横たわっているのに、砂浜で遊びながら ときどき普通よりも滑らかな小石や美しい貝殻を見つけて楽しんでいる、一人の少年にすぎなかったように思う」

 これはニュートンの言葉。この偉大な数学者も、ただ明るく子どものように、恬淡と自分の仕事を語っている。 (以下、敬称略)


唯言その一
◆努力は報われず、正義は滅びる
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早川さや香

早川さや香

富山県出身。東京学芸大学教育学部卒、コラムニスト。
著書に『Another Hero(小学館)』『一人前の仕事術(インデックスコミュニケーションズ)』など。

趣味の縁結びでは、20組以上の成婚を達成。最近、依頼が増えつつある結婚式司会業に備え、すこしお酒を自粛しボイストレーニングに励む日々。ブログはこちら