かき氷屋さんは冒険家? 冬山の恵みを夏の下町で。(椛屋編)

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 行列を覚悟していたけれど、平日の閉店間際ということもあってか店内には空いている席もあった。ラッキー。私は早速、奥のカウンターまで行き、紙に手書きされたメニューの中から「宮崎マンゴー杏仁 シングル」をオーダーした。

 番号札を受け取って席で待っていると、女子高生3人がブロック塀ギリギリに自転車を止めておしゃべりしながら入ってきたり、幼い子連れのママとおばあちゃんが「今日はメロンあるかしらね」なんて言いながら席に着いたりと、お店はまだまだ賑やかだ。

 そして運ばれてきたそれに思わず「おお~」と声が漏れてしまった。器が見えないほど山盛りに乗せられた、かき氷と、別盛りのマンゴーのソース(かき氷だから、本当はシロップと呼ぶべきか)
「これをどこにどうかけろと?」
とひとりごちながらも、恐る恐るソースを滴らせると、想像通りお盆までこぼれ落ちてしまうものと、氷の山にカルデラ湖のように穴を穿つものと、さもおいしそうに氷の表面に艶やかに留まるものとで、乳白色のかき氷はますます魅惑的な物体となった。

 それをゆっくりとスプーンですくい、口に入れる。杏仁豆腐の香りが口に広がったかと思うと、ふわふわに掻いてある氷は舌にしなだれかかるようにじわりと溶けていく。口どけという言葉は、今この瞬間に使うためにある言葉だ。

そして、マンゴーそのものを食べているかのような濃厚な味わい。運ばれてきたときには、全部食べきれないかもしれないと思ったかき氷の山が、どんどん小さくなり、ようやく器が見えてきたかと思うと、そこにまた小さな驚きがあった。

マンゴーがゴロゴロ出てきたかと思うと、プルプルの杏仁豆腐も。最後まで飽きさせない仕掛けもあって、多くの人を魅了するのも納得の逸品だ。