鶯谷に昼間っから夜の昭和、ダンスホールの花になる!?(ダンスホール新世紀編)

 鶯谷の駅に降り立つと、サンモリッツというなつかしい地名が目に飛び込んできた。私の頭の中にはスイスの美しい景色やホワイトターフと呼ばれる雪上競馬場で飲んだシャンパンの思い出が蘇る。

しかし、麗しい記憶を胸に目を凝らしてみると、あ、鶯谷のサンモリッツはこれもしかして…ラブ、ホ? うむ、この辺りでは間違ってもサンモリッツに行ったなんてことを口走らないようにしよう。お釈迦様の生誕地であるルンビニというカレー屋の名前にも、「5色のタルチョがはためく素敵な場所だったな」などと目を細め、どこからともなく漂ってくる豚骨スープの香りに故郷を思い、もうどこに向かっているのかよく分からなくなりながらもたどり着いたのは、駅から徒歩1分の未体験ゾーン『ダンスホール新世紀』。

 その名の通り、そこはダンスホール。ビアホールならば何度か足を運んだことはあるけれども、ダンスホールには全く足を踏み入れたことがない。それも当然。ここは、東京にたった2つしか残っていない貴重なダンスホールらしい。映画『Shall we dance?』の舞台となった場所でもあるとか。公式ウェブサイトには、ミラーボールのきらめくダンスフロアに腕を絡めて踊る紳士淑女の姿があった。でも、写真を見てもなお想像がつかない。どんな人たちがそこにいるのか。ドレスコードはあるのか。踊らない人も行っていいのか。お酒だけ飲みに来ちゃダメなのか。午後3時なんていう昼間っからお客さんがいるのか。そもそもダンスの経験がなくてもいっていいものなのか…云々。

電話で問い合わせてみると、ダンスの体験レッスンはあるという。右も左もわからなくてもとりあえず入店していいらしい。というわけで、怖いもの見たさに近い気持ちでやってきた。

 18歳未満の入場制限を難なくクリアしてエレベーターで3階へ。ドアが開くと、昭和の香りがムンと押し寄せてきた。低めの天井や、絨毯の床。重めのカーテンの向こうにフロントが見える。そこに立つ制服の女性にドキドキしながら声をかけた。