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 実は、上野動物園には園内マップに記されていない密かな見所がある。その場所を目指して、表門から入り大人気のパンダのコーナーを通り過ぎ、右に進んで行く。息子を夫に託し、動物たちを見てもらっている間に、私1人の歴史探検だ。
 向かうは上野動物園の旧正門。明治45年から昭和8年まで使われていた上野動物園の正門で、二代目であるこの正門が建てられたのは、園が宮内省の所管だった時代。大正13年の皇太子殿下(昭和天皇)ご成婚の際に東京市へと下賜され、上野恩賜公園動物園と呼ばれるようになった。ちなみに現在の表門は、正門とは呼ばない。また、皇室の方が来られる際には今もこの旧正門が開かれるのだとか。
 そんな旧正門から入った正面に、地図に描かれていない、そして一般に公開されていない史跡がちらりと頭を見せているのだ。

 先月、子連れシリーズなどと言って上野動物園に訪れたのは良かったのだが、好き勝手に走り出してしまう息子の手をつかまえながらも、なぜか動物園の敷地内にそびえ立っている五重塔や、西園と東園を繋ぐ道から金網越しに見える上野東照宮が気になって仕方がなかった。しかし、息子に動物を見せることが優先事項だったために、五重塔も東照宮も気になったまま、放置してしまった。

 でも、原稿を書こうとパソコンに向かうと、やっぱりむずむず。それでつい、原稿を書き出すよりも先にあれこれと調べてだしてしまったのだった。
 すると、日本史のスターや、儚く命を散らしてしまった名もない青年たちなど、上野を舞台に繰り広げられた時代を超えた群像劇が、頭の中でぐるぐる動き始めてしまった。動物園の中には更に気になる場所もあるらしい。そんなわけで、先月の原稿を書き上げてからほどなく、私は二ヶ月続けての上野動物園に、家族とともに足を運んでしまったのである。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/