アーロと少年

★★☆☆☆(2/5)

(C)2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

映画評

地球に隕石が衝突して絶滅したとされる、恐竜たち。しかし、もし隕石がぶつからなかったとしたら…。そのまま進化を遂げて、言葉と文明を持つようになる恐竜の世界を描いた、ディズニー/ピクサーのファンタジー映画。

体が小さくて弱虫な恐竜・アーロは、嵐で氾濫した川の激流にのまれた父親が亡くなるところを目の前にし、さらに自分も見知らぬ土地まで流される。そんなアーロを救ったのが、人間の少年。体は小さいのに、獰猛な恐竜に立ち向かう勇敢なこの少年を、アーロは「スポット」と名付け、帰郷の旅を共にする。スポットは言葉を喋れないが、しかし、様々な危機を乗り越えていく中で、次第に心が通じ合っていく。

猿が文明を築き上げて人間を家畜化する『猿の惑星』を連想したが、そこまで人間社会への皮肉や警告性は強くなく、焦点となっているのは、体の大きさや強さなどのハンデがあったとしても、あきらめない気持ち、がんばり、闘争心があれば、きっといつか成果があらわれるという、映画を観る子どもたちにエールを贈る内容になっている。

また、『アナと雪の女王』あたりから、王子様不要の自立した女性の物語が多かったディズニーにとっては、久しぶりの父権/男性映画でもある。そのあたりがちょっと古くさく感じてしまうのは、女性たちが社会にどんどん進出して活躍する現在だからかも知れない。父親を大黒柱にした、懐かしのホームドラマを観ているようだ。

一方で、父親の面影をいつまでも追いかけ続けなければならないアーロの姿が痛々しく、結末で母親が「見るもの」にも疑問あり。ただ、これはきっと誰かの「親」になれば、感じ方がまた変ってくるだろう。

いままでありそうで、実はそれほど多くない、人間と恐竜の共存映画。劇中の恐竜社会にも、いずれ人間が介入してくるだろう。いつか恐竜を脅かす存在になるのかと思うと、考えさせられるものがある。

監督/キャスト等

■監督:ピーター・ソーン
■声の出演:レイモンド・オチョア/ジャック・ブライト/ジャフリー・ライト
■配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
■公開:3月12日

関連サイト(外部リンク)

http://www.disney.co.jp/movie/arlo.html
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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。