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 中に入ると、柔らかな雰囲気の女性が一人。控えめに声をかけてくださる。「予約した諸岡です」と言うと奥へと案内された。そこには2メートル四方ほどのテーブルの上に、たくさんのガラス片が容器に入れて並べられている。「こちらへ」と促された席には、木のプレートの上に白い紙が敷かれ、その上にプレパラートのような透明なガラス板が4枚。ん?4枚??

 田畑硝子工房でこの日私が予約していたのは、箸置きを作るキルンワーク(ガラス工芸の加工技術の一つで、冷えたガラスを組み合わせ電気炉で加熱し、変形・融着させる技法)の体験コースで、2千円で箸置きを2つ作ることができるというもの。

2つなのに4枚のガラス板?と思っていると、私の頭の上のはてなマークを察知されたのか、女性は静かに作り方を説明し始めた。

 末広町2番出口から蔵前橋通りを東へ2分ほど歩くと、JRの高架にぶつかる。かつて、この秋葉原駅から御徒町駅のあたりは伝統工芸職人の街でジュエリーや皮革製品を扱う店が多くあったそうだ。

この高架下は、そんな町の駐車場や倉庫として使われていたが、2010年に『2k540(ニーケーゴーヨンマル) AKI-OKA ARTISAN(アキオカ アルチザン)』として生まれ変わり、工房とショップが一つになった、ものづくりの町にふさわしいお店が軒を連ねるようになった。前々からゆっくり歩いてみたいと思っていた場所だ。今回はそんなお店の一つ、田畑硝子工房に伺った。

 教えていただいた箸置きの作り方は主に3種類。ひとつ目は、2枚重ねた透明ガラス板の上に色つきのガラス片を乗せて焼くもの。これは、上に乗せたガラス片がとろりと溶けて、表面に凹凸ができる。砕いた形のガラス片はぶどうの房のようにつぶつぶとした形になるのが面白い。

ふたつ目は、2枚のガラス板の間に四角くカットした色つきのガラス片を挟んで焼くもの。両端に四角いガラス片を配置することで、焼いた時に中央が緩やかに凹み、箸を置きやすい形になる。見た目もスッキリとした印象。

三つ目は、二枚の透明ガラス板の間にガラス片をびっしりと敷き詰めて焼くもの。四角くカットされた色つきガラスを敷き詰めるとカラフルな市松模様のようになるし、砕いたガラス片だと世界に二つとない個性的な模様ができあがる。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/