このエントリーをはてなブックマークに追加
クリックして拡大

日本アカデミー賞最優秀監督賞はじめ数々の映画賞に輝いた『顔』以来、16年ぶりの組み合せとなった阪本順治監督、藤山直美主演の映画『団地』(公開中)。─記者会見

阪本監督が「子どもの頃に空想と妄想で遊んでいたことや、僕がその頃ずっと考えていた『人が死んだら、どこへ行くのか』ということについて答えを出してみたいと思った。人の死に対する疑念みたいなものを突き詰めていくと、宇宙にまで話が及んだ。藤山さんに『何これ?』と言われたくて脚本を書きました。今回は藤山さんをできるだけ遠いところへ連れて行きたかったんです」と言うように、大阪の団地に引っ越してきた夫婦とご近所さんの関係を描いた日常ドラマかと思いきや、終盤で、藤山演じる主婦を驚くべき展開が迎え入れる。

藤山も「台本を読んだとき、『ついに監督は頭がおかしくなったんかな?』と思いました(笑)。それでも、監督の頭の中には完成図があると思いましたし、これは監督にお任せようという気持ちでした」とびっくりの物語。ただ、やはり16年ぶりの阪本映画とあって「『顔』のときが(お互い)40歳ぐらい。今回はあと3年で還暦という歳でまた阪本監督に映画を撮っていただく縁があって、月日の流れはすごく大事だと思いました。『顔』から16年、監督も私もスタッフの方々も、それぞれの人生を送ってきた。私も人生後半の歳になり、監督に撮ってもらえて良かった。『顔』の頃にはなかったシワやシミもできていますし、ほうれい線もくっきりしてきて、そういう歳だから作ることができた作品」と感慨深そうに話した。

もともと薬局を営んでいた、主人公の夫婦。そこに漢方薬を求めて訪れる謎の男。演じたのは、斎藤工だ。しかし阪本監督は「藤山さんが『斎藤工(え)って誰?』と尋ねてきた」と存在を知らなかったという。藤山は「最初、印刷ミスやと思った。雑誌などではお顔を見たことはありましたけど、じっくり見たことはなかったので。心の温度は高いけど、静かな方でしたし、映画が本当に好きなんだと感心しました」と、今や人気トップの若手俳優の印象を語った。

そして最後に藤山は「この映画は大人が真面目にやっている喜劇。気楽に観に来て欲しい。特に私たち役者というものは、(作品に)興味もなかったお客さんに、終わった後に『面白かった』『来て良かった』と思ってもらえるまで、頑張って作らなきゃいけない」と、喜劇役者として活躍する自身のフィールドを重ねあわせて、本作をプッシュした。

映画『団地』は全国公開中。
◇公式HPはこちら


取材/文・写真 田辺ユウキ(映画評論家)

The following two tabs change content below.
田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。