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「公共の安全なんてモンは誰にも守れねえ」。この言葉を誰が口にしているか。実は、2016年6月25日公開の映画『日本で一番悪い奴ら』で、ピエール瀧演じる北海道県警の刑事が言ったものなのだ。

いま、警察組織の裏側のドス黒さを題材にした作品がおもしろい。現在公開中の『64-ロクヨン- 前編/後編』は、佐藤浩市扮する警務部の広報官が、かつて自分が担当し、解決できなかった少女誘拐殺人事件の十字架に苦しめられる物語だが、『後編』では、同じく捜査にあたった刑事たちが、保身にかられ、さまざまな真実を隠蔽していた様が映しだされる。特に、その隠蔽の鍵を握る、菅田俊が演じた署長・高田の我が物顔には、憤りを覚えるほど。

アメリカの犯罪都市・アトランタを舞台にした2016年6月18日公開の映画『トリプル9 裏切りのコード』は、警察官が撃たれた際に発動する緊急コード「999(トリプルナイン)」を悪用して犯罪計画を立てる武装グループが登場するが、その一味に、汚職まみれの悪徳警官(アンソニー・マッキー)が加わっている。さらに同僚警官を、「999」の生け贄にしようとする部分が、何とも酷い。ジョン・ヒルコート監督が、前作『欲望のバージニア』以上の“治安の悪さ”で描く、まさに“米国で一番悪い奴ら”なバイオレンス・アクションだ。

前述の『日本で一番悪い奴ら』は、綾野剛扮する青年刑事・諸星が、先輩刑事の毒に染まっていく。中でも、暴力団の事務所に堂々と入っていって、頭を下げさせる諸星の姿は、どちらが“その筋”なのか分からないくらい。銃器対策を担当するようになってからは、銃の取り締まりの成果をあげるため、でっちあげを組織ぐるみで日常茶飯事に繰り返す。これが実話というのだから、事態は深刻だ。

現実を見ても、痛ましい事件が起こったとき、「警察に繰り返しSOSを出していたのに、何もしてくれなかった」という報道が聞こえてくることは少なくない。

公開中の東出昌大主演『ヒーローマニア -生活-』では、フリーターたちが、街から悪を排除するために自警団を結成するが、これらの映画を鑑賞すると、「自分の安全は、やっぱり自分で守らなくてはならない」と痛感してしまうかも!?

『日本で一番悪い奴ら』 ◇公式HPはこちら
『64-ロクヨン- 前編/後編』 ◇インタビュー記事はこちらこちら
『トリプル999 裏切りのコード』 ◇公式HPはこちら
『ヒーローマニア -生活-』 ◇インタビュー記事はこちらこちら


取材/文・写真 田辺ユウキ(映画評論家)

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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。