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 ワイナリーといえば、青い空の下の緩やかな丘陵地。大きなブドウの葉が揺れる傍らではバラの花が甘い香りを振りまき、収穫の後はうら若き乙女の足でブドウを圧搾。その果汁を発酵させ、地下のセラーには大きな樽がゴロゴロと眠っている…なんていうのが私の中のイメージ。

実際、2009年に訪れたアルゼンチン、サルタにある「Bodega Jose Luis Mounier」というワイナリーにはそんな楽園のような光景が広がっていてクラクラしたものだ(その前に標高4000mを超える塩湖で体調を壊してしまったせいもあるけれど)。

ヨーロッパ各地でもワイナリーを横目にため息をつきながらロケバスで移動したこともある。また、変わったところではトルコ、カッパドキアの地下都市にある古代のワイン醸造所とか、タイの新緯度帯ワインの産地にもうかがった。ヴーヴクリコの地下セラーを取材したこともある。どこも私の日常から遠く離れた、素敵な場所だった。あー、また行きたい。

 なんて自慢話満載の長い前振りになってしまったが、何が言いたいのかというと、実は東京下町にもワイナリーができたということ。驚きだ。海抜ゼロメートルの江東デルタ地帯にワイナリー。とんとイメージが湧かなかったが、何はともあれ下町&ワインなんて言ったら、そりゃもう行かないわけにはいかない。早速、そのレストラン併設の都市型ワイナリー「清澄白河フジマル醸造所」へ伺った。

 清澄白河の駅から徒歩5分。地図を見て私は再び驚いてしまった。かつて住んでいた場所の目と鼻の先だったのだ。そのあたりは寺町の奥にある静かな住宅街で、小さな酒屋と銭湯くらいしか商いをしているような場所はなかったはず。でも、近年、清澄白河が大変身を遂げたことは私もよーく知っている。

ハンドドリップが主流のサードウェーブコーヒーの波が押し寄せ、なぜかこのあたりに続々とカフェをオープンしたのだ。『ブルーボトルコーヒー』を始め、『オールプレスエスプレッソトウキョウ ロースタリー&カフェ』や『アライズコーヒーロースタリーズ』など、自家焙煎、ハンドドリップ、そしてカフェスペースを擁したおしゃれで本格的なお店がたくさん。

今ではコーヒー店と運河が多いことから日本のポートランドと呼ばれたり、コーヒーの聖地とまで言われるようになってしまったのだ。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/