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 JR沢井駅 -拡大写真-

 あと30分、電車は来ないらしい。太陽がジリジリと照らす青梅駅で途方にくれた。ホームには昭和レトロな待合室が設置されている。入ってみると3畳ほどのスペースに3人の人が涼んでいて、お弁当を広げている人もいる。

私は「仕方ない、まずはここで1杯飲んじゃいます?」とレジ袋の中の缶ビールを指さした。すると相棒は難色を示す。「いや、それは。あ、でも、やっぱりそうじゃないとやっていけないですよね…」とかなんとか。

いや、単に喉が渇いたし、まだ冷たいうちに飲みたいだけだったんだけど、まあ確かにこの閉ざされた空間で昼前から飲み始めるのは少々気がひける。私は渋々引き下がることにした。

 酒好きの酒好きによる酒好きのための旅。今回は、下町で飲んだ日本酒「澤乃井」の味が忘れられず、その魅力を探るために街を飛び出した。唎酒師、酒匠といった肩書を持つ編集H氏を相棒に引き連れての東京小旅行だ。

 ようやくやってきた奥多摩行きの電車に乗りこみ、6つ目の沢井駅で降りると、車道をアンダーパスする下り坂が伸びていた。それをずんずんと下りていくと左手の塀の向こうにはもう大きなタンクなどが見える。ここはもう目的地、小澤酒造。東京に10ある蔵元の中の一つで、生産量はもっとも多い。

 坂を下りきると青梅街道。それを挟んで駅側に酒蔵があり、反対側に澤乃井園という小澤酒造が営む清流ガーデンがある。予約してある蔵見学まではまだ時間があったため、相棒と共に少々早足で澤乃井園へ向かった。この期に及んでまだレジ袋の中のビールを気にしながら。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/