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井上荒野の同名原作を映画化した『だれかの木琴』(9/10公開)。この映画の先行上映会が大阪ステーションシティシネマ(大阪市)で実施され、東陽一監督、池松壮亮が舞台挨拶を行った。

本作は、ごく普通の主婦が、髪を切ってくれた美容師の青年への想いに駆られ、ストーカーのように執着してしまう模様を描いている。メガホンをとった東監督は1960年代から活動する大ベテランだが、池松は、映画学校に通っていた19歳の頃、東作品と出合って大きな影響を受けたという。

「『絵の中のぼくの村』を観て、衝撃を受けました。その後、すぐに『サード』を観て、この人と会わなきゃいけない気がしました。それが、いつの間にかこうやってお仕事をご一緒できるようになってびっくりしています」 東監督は、以前から池松が自分に興味を持っていることを聞いていたそうで、「俺の昔の映画を好きなんて、変わった男だなと思っていた。でも、20年近く経った映画にショックを受けてもらえたことは、若い人に認められた気がして自信になりました」と嬉しそうな表情。

池松にとって大きな存在である、東監督。実際に体験した東組の現場の印象は「撮影がものすごく早い。ワンシーンワンカット、ワンテイクやツーテイクなんです。(夕方の)4時くらいに撮影が終わって、小学生と同じような時間に帰っていました」とのこと。

東監督はその理由について、「磨き過ぎたダイヤみたいなものはいらない。綺麗にできて、拍手をもらうようなお芝居ではなく、もっと生々しいものが欲しい。(芝居が)上がりかけたところの、いきいきとした部分でとめるのがいい」と独特の表現をした。

ただ、そんな東監督に対する池松の信頼は絶大で、「東さんと話して、すごく楽しい。僕はあまり誰かにどうこう言われたくないし、自分で自分をコントロールするタイプだけど、東さんの前では自分をコントロールすることを忘れます」と心酔。

東監督は、池松との現場について「これからどれだけ大きな仕事をするか分からない俳優と、おもしろい映画を作った。誰に観てもらっても恥ずかしくない」と胸を張り、池松も「宣伝的に“ストーカー”という言葉が使われていますが、そういうものではなく、東さんが現代の孤独に目を向けた映画です。決して分かりやすいわけではないけど、昨今の映画の中では異質。東さんが何を伝えたいか、それを観て欲しい」と伝えた。

映画『だれかの木琴』は2016年9月10日より全国公開
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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。