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 第二次世界大戦下のアメリカ西海岸の小さな町を舞台に、戦場へ駆り出された父親に対する、ひとりの少年の想いを描いた『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』(公開中)。本作で、少年に勇気と希望を与えるクメ・マサオ役を演じた尾崎英二郎が、テアトル梅田(大阪市)で舞台挨拶を行った。

『ラスト サムライ』『硫黄島からの手紙』などに出演し、ハリウッドを拠点に俳優活動をしている尾崎は、今回のクメ役をオーディションで勝ち取った。

「アメリカでは台詞が一行であっても、オーディションで役が決まるんです。僕が参加したオーディションは、最初は残忍な日本人将校の役でした。一次オーディションをパスして、二次になったとき、僕に与えられた役が、なぜか今回のクメ・マサオ役に変わっていた。オーディションで役を変更させられるなんてことは、アメリカでもありえない。しかも、このクメは15歳と書かれていて。僕は40歳をこえているので、普通は絶対に受かりません。でも、15歳のクメの役が本当に素晴らしくて。ロサンゼルスで俳優活動をして、巨大なものに立ち向かっている自分に重なるものがあったんです」
と異例のオーディションを振り返った。

「二次オーディションで監督(アレハンドロ・モンテヴェルデ)から、『やっぱり17~18歳の子を探そうと思う』と言われました。当たり前ですよね。だけど、この役を何としてもやりたかったので、思い入れを語ったんです。そうしたら『君は刀を使えるのか』と尋ねられた。『ラスト サムライ』で練習していたので、『大丈夫です。3分、時間をください。マサオ・クメの闘いをちゃんとお見せします』と伝えて、その場で形、息づかいを見せました」

一度は手から離れそうになった、クメ・マサオの役。しかし、心意気が通じた。

「役の年齢設定を書き換えてくださったんです。たった3分の出来事で、こうやって皆様の前に立つことができました」
とその場で起こった奇跡について語った。

「父親奪還作戦」を試みる少年と、それを取り巻く大人たちとの、人種や国境を越えた心の交流。尾崎は、

「アメリカでもこういった独立系の映画は年間に500~600本あり、その多くが映画館ではしっかり上映されない状況です。そんな中、さまざまな方がカンヌ映画祭で本作に目を留めてくださった。映画は、皆さんの心に届いたとき、映画になります」
と、日本でもよりたくさんの映画ファンに観てもらいたいと願った。

映画『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』は全国公開中
◇公式HPこちら

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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。