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和歌山市で全編撮影された映画『ちょき』。2016年12月3日の全国公開より一足早く、和歌山で先行公開がスタートしたことを記念して、ジストシネマ和歌山(和歌山市)で公開初日の舞台挨拶が行われ、出演の増田璃子、吉沢悠、監督の金井純一、主題歌『風の声を聴いた日に』を担当したおおはた雄一が登壇した。

この映画は、盲目の少女と、彼女の髪を切ることになった美容師のやりとりを描いた物語。金井監督が、和歌山出身のプロデューサーから「市内で映画を撮らないか」と誘われ、町を見て回り、人々と交流する中でストーリーを練り上げていった。思い入れのある場所での最初の上映とあって、金井監督は「感無量です。『ちょき』を作っていく過程には、たくさんの奇跡がありました。和歌浦天満宮、マリーナシティ、和歌山盲学校、じゃんじゃん横丁など素晴らしいロケ地とめぐり会うこともできて、そんな奇跡が重なってできあがった作品です」と感謝の言葉を口にした。

スタッフ、キャストは2015年12月に和歌山市に滞在して撮影。増田は、「実際に営業している美容室をお借りして撮影しました。その美容師さんと仲良くなり、実家に送るみかんを一緒に選びに行ったりもして。大切な友だちができました」、吉沢は「台詞が和歌山弁だったので、先生に方言指導をしていただいたのですが、撮影中、近くにいた全然知らない人にも『これは和歌山の方言で何と言うのですか』と尋ねることもありました。快くお応えいただいたのが、印象に残っています」と、さまざまな形で親睦を深めながら芝居をしていったという。

主題歌だけではなく、劇中の音楽も手がけたおおはたも、「和歌山の人はみんな濃い。和歌山市駅前にある、ヘロンというお店でよくライブをさせていただくのですが、すぐにみなさんと溶け込むことができます」と印象を語り、「劇中の音楽は、いろいろ考えて音をつけていきました。じっくり作ることができたので、ぜひ聴いて欲しい」と自信をみせた。

増田は、盲目の少女を演じるにあたって、撮影前に和歌山盲学校を訪問。「出演が決まったときは不安がありましたが、和歌山盲学校で一人の少女と出会い、いろんな話をしていく中で、『私らしく演じていこう』と思えるようになり、不安がとれました」とその女子生徒の存在の大きさを語った。

美容師役の吉沢は、「ハサミがきっちり映るので、技術的にもしっかり学ばなくてはいけなかった。そこで、知り合いの美容師さんのところへ行き、(髪を切る)技術を身につけていきました。そして何より、美容師として盲目の少女とコミュニケーションをとっていく中で生まれる葛藤を演じるのが、とても大変でした」と役作りを振り返った。

和歌山の人たちと一緒になって作り上げた本作。映画完成後もスタッフ、キャストは何度も和歌山を訪れて、PR活動を行ってきた。増田は「今日の公開初日が終わると、そういう日々も終わってしまうから、寂しくなった」と声を詰まらせ、吉沢は「和歌山から全国へ発信したいと、公開前からずっと言ってきた。この場所から、たくさんの方に観てもらうようになって欲しい」と“和歌山映画”が大きく羽ばたくことを期待した。

映画『ちょき』は和歌山にて先行公開中、2016年12月3日より全国順次公開
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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。