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1962年に刊行された川端康成の同名小説を、現代版として映画化した『古都』。この映画の記者会見が京都市内で行われ、主演の松雪泰子、監督のYuki Saito、主題歌を担当した新山詩織が登壇した。

本作は、京都室町で先祖代々から続く呉服店を継いだ姉と、北山杉の里で林業を営む妹が、それぞれ娘にどのようにして想いや文化を継承していくかを描いている。

双子の姉妹を一人二役で演じた松雪は、「私は京都に暮らしているわけではないですが、(姉の)千重子、(妹の)苗子という役を通して、京都に生きることができました。この肉体を通して(二人を)体現したいと思い、お茶、所作、着付けなどのお稽古ごとを学び、料理はお店に伺って教わって、現場にのぞみました」と撮影を振り返った。

Yuki Saito監督は国内外で映像制作をしているとあって、川端康成の世界に新しいエッセンスを加えて『古都』を作り上げた。長編デビューとなる本作について、「京都の伝統文化、美しさを映画にしたいとずっと思っていました。川端康成財団の理事を務める川端香男里さんからは、『自由に映像化していい。ただし、川端康成の美の精神だけは失わないでください。今の京都を受け継ぐように描いて欲しい』と言われました。作品に宿る魂を表現するため、すべてほんまもんにこだわりました」と気を引き締めて制作に取り組んだ。

松雪は、原作について「何度も読み返した」という。「ページをめくると、絵画のように(世界が)広がっていく。そんな川端作品の奥深さを、若い世代にどう伝えていくか。まだ社会に出ていない人たちに、その未知の世界をどう継承してもらうか。葛藤しながら、(監督たちと)セッションをして作っていきました」

新山詩織が歌うエンディング曲は、中島みゆきの『糸』のカバー。文化継承という本作のテーマをあらわした楽曲だ。「学生の時からふと耳にしてきた『糸』は、年代問わず響く曲。京都の美しい景色に優しく寄り添えるように歌わせていただきました」と語り、最後に弾き語りを披露して記者会見は終了した。

映画『古都』は全国公開中
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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。