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小芝風花、香川京子が出演する映画『天使のいる図書館』(2017年2月11日全国公開)。本作の記者会見が大阪市内で行われ、ウエダアツシ監督が登壇した。

奈良県の葛城地域(大和高田市、御所市、香芝市、葛城市、広陵町)が、地元の魅力を映画で伝えようというプロジェクトの第1弾作品。図書館に勤務しているが、何でも合理的に考え過ぎて周囲になじめないヒロインが、利用者の用途に合った本を探す業務「レファレンスサービス」を通じて、新しい自分を見つけていく物語だ。

小さな町で女子高生たちが意図的に集団妊娠をする衝撃作『リュウグウノツカイ』でデビューした、ウエダ監督。今回は、自身の故郷・奈良県のために一肌脱いだ。「町の素晴らしさをまずちゃんと伝えようと思いました。景色、そして無数の歴史深い名所。僕自身も初めて知ることが多かった。地元の観光に繋がるような内容にもしたいと考えていました」

「地元の映画」を意識したが、しかし決してドメスティックな向きにはしていない。ウエダ監督は、「まず東京の人たちが観て、おもしろいと言ってくれる映画を目指した」と話す。その意図を重ねるキャラクターとして、小芝演じる吉井さくらを作りあげた。利用者から「泣ける本は何かないか」と頼まれても、「泣ける本というのは、人それぞれの主観だ」と持論を展開し、一般的には到底受け入れられないタイトルを持ち出す、いわゆる空気が読めない女性。喋り方はシステマチックで、まるでスマホに搭載されている音声アシスタント機能のようだ。

「さくらを知識に長けている。でもその分、ぬけている部分もあるはず。そこが、人としての愛嬌に繋がるのではないかと思いました。単なるロボットのような女性では、受け入れられないでしょうから。小芝さんと打ち合わせをして、『変な文節で喋るのはどうですか?』とアイデアをもらって、あの口調のキャラクターができました」

ある日、さくらが勤める図書館に、ひとりの老女がやって来る。若かりし日の思い出を引きずる、香川演じる芦高礼子だ。彼女の来館が、さくらに違った世界観を芽生えさせていく。

「香川京子さんの大ファンなので、夢のようだった」と喜ぶウエダ監督は、劇中にも香川京子へのリスペクトをふんだんに交えた。「図書館が舞台ということで、映画には数々の本が登場します。中でも、礼子に読ませる本を探しにきた青年に対し、スタッフたちがいろんな作品をおすすめするシーン。『(礼子が)昔観た映画の原作を読むのも良い』と取り出すのが、香川さんが出演した映画の原作『猫と庄造と二人のをんな』(谷崎潤一郎)や『稲妻(林芙美子)』。同じく『二十四の瞳』(壷井栄)も、テレビドラマ化の際に香川さんは主演されていますし。そういう遊び心をいれています」

「『ひめゆりの塔』、『天国と地獄』の香川京子さんも好きで…」と名女優への愛が止まらない、ウエダ監督。「娘役をやっていらっしゃったときの、あのときの笑顔と何も変わらなかった。撮影をしていて、たまらない気持ちでした」と、劇場公開3本目にして自身にとって思い入れの深い作品ができあがった。

映画『天使のいる図書館』は2017年2月11日より奈良県内にて先行上映、2月18日より全国順次公開
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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。