このエントリーをはてなブックマークに追加
クリックして拡大

乃南アサの原作小説の映画化『しゃぼん玉』。本作の舞台挨拶がテアトル梅田(大阪市)で行われ、林遣都、東伸児監督が登壇した。

本作は、親の愛情を知らずに育ち、通り魔や強盗傷害を繰り返してきた青年・伊豆見が、逃亡先の村で出会った一人の老婆との交流をきっかけに、気持ちが変化していく物語。

この日は、感動の余韻が残る上映後の舞台挨拶とあって、歓声とすすり泣く声の両方に迎えられた二人。加えて、客席との距離も近く、林は「みなさん、お越しいただきありがとうございます。(最前列のお客さんの)お母さんが涙されていて、改めてこのような作品に参加できて自分はとっても幸せです。それにしても、思ったより(お客さんが)近くて…、あまり気にしないように頑張ります」と笑顔を浮かべた。

これまで幅広い役を演じてきた林だが、それでも鑑賞者が口々にするのは、「こんな林遣都は見たことがない」という言葉。東監督は「林君と直接会ったとき、『20代の青年として、挫折があり、そして誰かを恨んだりしたことがあるんじゃないか』という味があったんです。彼となら闘えると思いました」と林の魅力を感じ取った。

映画の中では、市原悦子扮するスマ、綿引勝彦演じるシゲ爺から、温かい言葉だけではなく、人生の厳しさを教えられる。林も「デビュー作(『バッテリー』)でご一緒させていただいた滝田洋二郎監督は、今まで出会った監督の中で一番厳しかった」と、『おくりびと』でも知られる名監督の名前を挙げた。「滝田監督は、15歳でなにも分からなかったとき、怒鳴り散らされて本当に怖かったんです。でもその分、(芝居が)うまくできたときは同じくらいの愛情で返してくださいました。今でも年に1度は連絡を取らせていただいて、厳しい言葉をかけてくださいます。滝田監督の『ずっと勉強しなさい、でもいい子になりすぎてはダメです』という言葉をいつも思い出しています」と恩師に感謝した。

今回共演した市原悦子は、自己免疫脊髄炎の治療のため、休養中だ。2月に東京都内で行われた試写会の舞台挨拶の際は、市原から肉声のメッセージが届いた。

林は、「市原さんは、遠い次元の役者さん。小さい頃から、『日本昔ばなし』を観て育ったので、実際お会いしたときも、イメージ通りの心の優しいおばあちゃんでした。最初にお会いしたとき、『とても難しい役ですね』と一言だけ言われて。後半部分の大変なシーンが終わった後には、市原さんから『役者というお仕事は本当に大変だけど、やりがいがあるし、しっかりと(役を)作っていかないとだめですね』と声をかけていただきました。(東京の舞台挨拶で披露された肉声メッセージの中で)『林さんとの共演は忘れられないものになりました』と言っていただいて、そのメッセージは生涯の宝物。現在、体調を崩されていますが、早く元気になってほしい。撮影以来、お会いできてないので映画のご感想も聞いてみたいです。市原さんにずっと見ていただけるように、役者を頑張っていきたいです」と精進を誓った。

そして最後に、林は「『しゃぼん玉』は僕にとってとても大切な作品になりました。多くの人に見ていただきたいと自信を持って言える作品」と力強く語った。

映画『しゃぼん玉』は全国公開中 ◇公式HPはこちら

The following two tabs change content below.
田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。