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ティーン映画を分析したドキュメンタリー『ビヨンド・クルーレス』が、映画イベント「Cinematic Skola(シネマティック・スコーラ)」で関西初公開され、コラムニストの山崎まどかさん、文筆家の長谷川町蔵さんがゲストトークを行った。

100名以上の観客で埋まったKANDAI MeRISEホール(大阪市)で上映された『ビヨンド・クルーレス』は、『アメリカン・パイ』などの学園ものからホラー映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』まで、10代を主人公とした映画を幅広く取りあげている。

山崎さんが「エマ・ストーンが(『ラ・ラ・ランド』で)アカデミー賞主演女優賞を獲りましたが、その前に彼女は『小悪魔はなぜモテる?!』でゴールデングローブ賞候補にもなっていたんです。ただ、今のこういう状況は、10年前は考えられませんでした。だけど(『マネーボール』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でアカデミー賞助演男優賞候補になった)ジョナ・ヒルだって、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』はゴールデングローブを獲ってもおかしくなかった。『ビヨンド・クルーレス』はティーン映画へのフィードバック(帰還)になっている」と解説。

長谷川さんも、「ハリウッドを牽引する監督もティーンムービーから出てきましたよね。ウェス・アンダーソン、アレクサンダー・ペイン。あと、M・ナイト・シャマランも『シーズ・オール・ザット』という映画の(脚本の)ゴーストライターをしていた。今の主要プレーヤーが学園映画に関わっていたんです」と指摘。

一方で二人は、ティーン映画で人気を集めた役者たちは「それを隠したがる」と苦笑い。長谷川さんは「ジョニー・デップもティーン映画に出ていた。ティーンものを否定しないとビッグになれないのかな」と話せば、山崎さんも「ヒース・レジャーが亡くなったとき、私たちが思い浮かべたのは『ダークナイト』ではなく『恋のからさわぎ』だった。リース・ウィザースプ―ンなんかは、アカデミー賞主演女優賞以降、シリアスなものばかり出ていたけど、自分はやっぱり『キューティー・ブロンド』(の印象)なんだと意識して、そういう作品にまた戻って盛り返してきた。学園ものにいた自分を否定してはいけないんです」と言及。

キャリアの隅っこに追いやられがちなティーン映画だが、それでも「これは絶対に観ておくべき」と絶賛するのが、『スウィート17モンスター』(2017年4月22日全国公開)だ。

山崎さんは「『スウィート~』は格段にすごい。脚本家が自分自身を女の子に置き換えて投影しているが、『こんなに打ち込んで脚本を書いたのは初めて』だという。過去、新世代のルネッサンスみたいなティーン映画がいくつかあって、そして2007年に『スーパーバッド』が出てきた。『スウィート』は、そんな『スーパーバッド』に変わる映画となる」と歴史的な重要性を説いた。

長谷川さんは「主演のヘイリー・スタインフェルドがずっとブス顔で(笑)、言葉の8割くらいが、人の嫌がることばかり。何でこの役をあのヘイリーが…と思うだろうけど、それでも観る人は『これは私の物語だ』となるはず」と共感を呼ぶと話す。

山崎も「エル・ファニング、クロエ・モレッができなかったことを、ヘイリーがやってのけた。ジョン・ヒューズ監督作品に出ていたモリー・リングウォルド、『ミーン・ガールズ』のリンジー・ローハンくらいすごい」と注目の若手女優に熱い言葉を注いだ。

山崎は「これから『ハンナだけど、生きていく!』も公開される。楽しみにして欲しい」とティーン映画のさらなる飛躍を期待した。

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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。