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日本でも大ヒットを記録した『いのちの食べかた』のニコラウス・ゲイハルター監督が、撮影に4年を費やし、世界70か所以上にも及ぶ廃墟を記録したドキュメンタリー映画『人類遺産』(公開中)。本作の公開を記念しシネ・リーブル梅田(大阪市)で全国各地の面白スポットを巡る珍スポットトラベラー、金原みわさんのトークイベントが行われた。

大雨によって湖底に沈んだアルゼンチンの町、ヴィラ・エペクエン。ハリケーンに襲われ、海へと崩落したアメリカ・ニュージャージー州の海上遊園地の巨大ローラーコースター。そして、軍艦島の名で知られる炭坑の島・瑞島や東日本大震災後の福島の町。人がいなくなったその場所を、台詞や音楽をまじえず、淡々と映しだしている。

「最初に観たときは、未来人が作った、滅亡した現代世界のように映りました。『かつて人類はこういうことをしてきたんだよ』って。はじめは他人事のように思えたんですけど、でも序盤の福島の映像のことを考えると、未来から見た現代の世界ではなく、やっぱりこれは今の世界のものなんだなと実感しました。どんどんイメージが膨らんで、映画の中に入り込み、その場所でどういう人たちが生きていたのか、想像しながら楽しみました」

各地の廃墟を訪れている金原さんは、劇中に登場した中で実際に足を運んだ場所として、「まずは福島県の町ですね。映画にあったのは浪江町ですが、私はその近くにある富岡町へ行ったことがあって。そこは最近になり、一般の人も出入りが出来るようになったんです。それでも町へ入ったときは、この映画を観たときと同じような、複雑な気持ちがありました。あと、やっぱり軍艦島。観光の船が出ているので、行くルートが限られていますが、廃墟の王様です」と2か所を挙げた。

今や廃墟は、マニアではなくても楽しめるスポット。金原さんは「明日すぐにでも行ける身近な廃墟」として、「和歌山県の友ヶ島です。加太港からフェリーに乗って行きます。明治のとき砲台などを作っていたけど、一度も使われることなく朽ちた場所。大阪からも2時間ちょっとで行って、日帰りで楽しめます」とイチオシした。

時間があれば、珍スポットを訪れている金原さん。「ライフワーク」と言い、それが発展して、今や雑誌、ラジオのレギュラー、トークイベントの出演などに引っ張りだこ。金原さんは最後に、「廃墟を見に行くときは、あまり事前に情報を仕入れないまま現地へ行って、まずはその雰囲気を感じてください。で、帰ってから文献などで調べて、撮った写真を見直しながら、『あの場所でこんなことがあったんだ』と知って欲しい。それから、もう一回行ってみる。ニコラウス・ゲイハルター監督も、この映画にあえて説明を入れていないのは、そういうことだと思うんです。廃墟はまず、知るよりも感じることが大切」と廃墟の巡り方をオススメした。

◇映画『人類遺産』は全国公開中
◇公式HPはこちら

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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。