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社会現象を巻き起こした韓国ドラマ『冬のソナタ』のユン・ソクホ監督が、初めて長編映画に挑戦した『心に吹く風』(2017年6月17日公開)。本作公開を前に、ユン監督と出演者・真田麻垂美がインタビューに応じてくれた。

この映画は、北海道を舞台に、高校時代に付き合っていた男女が、23年ぶりの再会を果たし、再び想いを寄せ合っていくラブ・ストーリー。初恋が忘れられずに独身を貫くビデオアーティスト、夫がいながらもそんな彼に惹かれていく女性のやりとりを、豊かな自然描写を交えながら紡いでいく。

韓国国内では、“冬ソナ”を筆頭にたくさんのドラマを手がけてきたユン監督。過去には映画のオファーも何度かあったそうで、「ただ、脚本を読んだときに『これを演出したい』と思う作品に出会えなかった。あと、バジェットの大きな映像ばかりだったので、プレッシャーもあり、踏み込めませんでした。でも今回は、プロデューサーが、私のやりたいようにやっても良いという自由さを与えてくださったので、作家主義で作ることができました」と嬉しそうな表情を浮かべた。

出演者のオーディションを兼ねた、ユン監督による演技ワークショップに参加し、主役の座を射止めた真田。1996年にヒット作『月とキャベツ』のヒロインを務めたこともある彼女は、16年ぶりのスクリーン復帰となる。「2001年の『忘れられぬ人々』でサンフランシスコの映画祭へ行き、そこで舞台挨拶をしたのですが、質問されたことに何も答えられなかったんです。そのもどかしさをきっかけに、向こう(アメリカ)に住むことにしました。今回はプロデューサーさんにお声がけをいただいてユン監督のワークショップに参加したのですが、(ワークショップは)自分を開放できる空間になっていて、心地良さがありました。ユン監督のマジックがかかっていた」と振り返った。

戸惑いながらも、許されない愛に流れていく主人公たち。ユン監督は「不倫は生々しいものだけど、初恋という部分に価値を置いて、大人の童話として美しく描くことを心がけました。私も高校生の頃に初恋を経験して、そのことを毎日思い出すわけではありませんが、胸の奥に大切にしまっています。(主人公の)リョウスケもそういうタイプではないでしょうか。私の初恋相手は、本当に綺麗で、離したくないと思っていました」と青春時代を思い起こした。

真田は、「(自分が演じた)春香は、大好きだったリョースケといろいろあって、それから心を閉ざし、我慢して生きてきた。そんなふたりの純粋な気持ちが自然とよみがえって、自然な流れとして感情が飛び出していく。それがラストに繋がっていきます。私も、ふとした香りや景色で、ふわっと(初恋相手の)顔を思い出すことがあります。ただ、今会って、また恋をしたいとは思わないのが本音です」と笑った。

“冬ソナ”で日本のオバサマたちを熱狂させたユン監督は、「あの作品では、『少女の気持ちを呼び戻してくれた』と言ってもらえたことが嬉しかった。でも、今回の映画を観て『“冬ソナ”みたいですね』という人がいたときは、困惑しました。この映画のふたりの恋には答えがない。たとえ苦しさを乗り越えて結婚しても、決して幸せにはなれないと思います。初恋は一度しか感じられないものですから」と恋愛観を交えながら、映画をPRした。

映画『心に吹く風』は2017年6月17日より全国公開
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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。