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2017年のカンヌ国際映画祭でエキュメニカル審査員賞を受賞した『光』。本作の舞台挨拶が梅田ブルク7(大阪市)で行われ、河瀬直美監督、永瀬正敏が登壇した。

この映画は、視力を失いゆく天才カメラマンと、彼と出会って生き方が変化していく女性の物語。カンヌ映画祭では上映後、約10分間に渡るスタンディングオベーションが起きた。河瀬監督はそのときの状況を「最高でした。エンドクレジットの瞬間から温かい拍手が、2300人の方から沸き上がって、涙が止まらなかった」と振り返った。

現地では「パルム・ドール(最高賞)の最有力候補」として見られていたようで、河瀬監督は「カンヌ滞在中、街を歩いていたら声をかけてくれる人も多かった。(パルム・ドールの)発表の瞬間は、客席からも『ルミエール』(『光』のフランス題)との声があがっていた。(海外配給も)35か国で販売が成立しています」と受賞はならなかったが、世界へ拡大中だ。

エキュメニカル審査員賞は、カトリックとプロテスタントの審査員が、人間の内面を豊かに描いた作品に対して贈る賞。しかし受賞の第一報を受け取ったのは、河瀬監督ではなく、永瀬だった。永瀬は「監督が、電波の届かないところにいらっしゃって。スタッフも(受賞のことを)ちゃんと聞かずに、『永瀬さん、永瀬さん!』と僕に受話器を渡すものだから、驚いちゃって。とりあえず監督に伝えなきゃって思ったんですけど…」と戸惑ったという。

ちなみに河瀬監督はどこに行っていたかというと、「リゾート地へ遊びに行っていました。紐をつけないとどこに行くか分からない性格ですから。『監督、賞を獲ったんですけど、帰って来てもらえますか』と言われて」と苦笑い。

映画の撮影は、河瀬監督の拠点・奈良を中心に、大阪の黒門市場などでも実施されたという。河瀬監督は、「関西で(撮影を)頑張ったけど、関西の動員が少ないみたい」と奮起を促し、「カンヌのクロージングで(女優の)ジュリエット・ビノシュが、『映画は光、映画は愛』と言いました。その言葉が私にとってのパルム・ドール。輝ける方向に自分たちを向けていくのが、次の一歩になると思う」とメッセージを語った。

映画『光』は全国公開中
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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。