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「今、皆さんが立っている場所は、大体35度くらいです。でも、こちら側はプラス30度と考えてください。炉の中は1320度前後になっていて、その中に溶けたガラスがあり、それを巻き取ってから膨らましていきます。」
 説明してくださるのは、篠原風鈴本舗の職人さん。

綺麗に整頓された工房の中は灼熱の暑さのはずだけれど、扇風機で風が循環されていて体感はそれほどでもない。しかし、炉の前はプラス30度…。職人さんたちは、毎日毎日そこに立ってお仕事しているのか。

聞けば、6月のこの時期は夏の繁忙期直前で、1日に100~200個の風鈴を作られるのだそうだ。一つ一つ手作業でとなると、ものすごい数なのだろう。私の到着時には、何やらテレビカメラが外観の撮影をしてした。メディアに取り上げられる機会もぐんと増えるのだろう。

と言って、とも竿を炉に入れて、真っ赤に光るマグマのようなガラスを巻き取った職人さん。

 そんなわけで、今日は創業100年を超える老舗、篠原風鈴本舗に製作体験、ガラス吹きと絵付けをしようとやってきた。

職人さんから一通りの説明を伺って、早速私たちがガラスを吹くことに。この日、この時間の体験は、私を含め女性ばかり3人。テレビで見てから気になっていたという都内の年配の女性Sさんと、日本語が少しだけ話せる上海の女の子Kさんと、私。もちろん初対面同士だけれど、職人さんのトークが楽しくて、なんとなく言葉を交わしてるうち女3人で姦しく製作体験が始まった。まずは、一番に到着していた年配のSさんから。

「大丈夫そうですか?」
と聞かれるも、Sさんは、
「いや~」
と戸惑うばかり。

そりゃそうだ。私も頭では説明を理解したものの、こんなに技とスピートが必要で、危険の伴う仕事を、すぐにできるわけがないと思ってしまう。しかし、職人さんが笑顔でSさんを炉の近くへと招き、
「大丈夫ですよ、今まで作れないで帰った人は一人もいませんから」
と言いながら、長いガラスのストローのような棒、とも竿を取り出した。
「この棒はちゃんと消毒済みなので、しっかりストローのように口をつけて息を吹き込んできださい。まずは、私が溶けたガラスを巻き取るところまでやります。それをお渡しするので、ゆっくりと吹いてください。では」

と言って、とも竿を炉に入れて、真っ赤に光るマグマのようなガラスを巻き取った職人さん。

Sさん、恐る恐る吹いてみるも、力加減が難しく、力を入れた瞬間にガラスの塊はヘチマのような形に膨らんでしまった。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/