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 《若い頃になぜあんなに『ありがとう』を言うのが嫌だったのだろう》
 
 “ありがとう”の安売りはしたくない。
 そんな気持ちからだったのだろう。
 
 周りの大人は“ありがとう”を連発し、感謝の気持ちは大切だと口癖の
 ように呪文のように、時には受け売りみたいに聞こえてくる。
 
 別にひねくれていたわけでもない。大人を信じてなかったわけでもない。
 ?いや、それは断言できないが・・・。
 ただ、素直に“ありがとう”を言えなかった自分がとても嫌だった。
 世界中が連呼しているこのコトバを、言えない自分。
 
 私は〈一般レベル程〉の感謝の気持ちを持つ事が出来ないのか?何に対
 しても当たり前と思って所謂自分中心に地球は回っているとでも思って
 いるのだろうか?
 
 今思えば、“ありがとう”の気持ちになれなかった、と言うよりは、
 “ありがとう”を言う事によって、自分の気持ちの価値が下がるような
 感覚だった。
 
 なぜなら、“ありがとう”はもっと貴重で、どこでもいつの時でも誰に
 でも容易く気軽に言うようなものではないと思っていたから。まぁ、い
 わゆる最上級のコトバ、キモチだと思っていたから。
 
 “ありがとう”を言えば言う程苦痛・・・とまでは行かないが、感じて
 いる自分の感謝の気持ちと、その最上級のコトバは一致しているのだろ
 うか、と。
 
 外国に行ったら誰もが真っ先に覚えるコトバ“ありがとう”。“ありが
 とう”の外国語なら何カ国も言える。
 
 ありがとう、thank you、カムサハムニダ、シェイシェイ、コップンカー、
 グラシアス、グラッツエ、メルシー、カムオン、オークン、エスカリカ
 スコ・・・
 
 私が使った事ある“ありがとう”の外国語だ。

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ソニン
ソニン
1983年高知県生まれ。2000年歌手デビューし、2003年には「高校教師」(TBS)で女優の活動を開始。舞台や映画に活動の場を広げ、現在に至る。