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旅に病んで夢は枯野を駆け廻る。

そう詠んでしばらくの後、松尾芭蕉は次の世界へと旅立った。
元禄7年10月12日、享年51歳。

今も命日には時雨忌といって、
森下駅近くにある芭蕉記念館などではイベントが行われている。
一般から俳句の作品を募り、この日に入賞などの発表が行われるものらしい
が、記念館に設置されている投句箱には年間250以上、
それ以外のものも入れると毎年1900以上の作品が寄せられるらしい。

松尾芭蕉と言えば私にとっては憧れそのもの。
その理由は、旅と言葉。そう書けば十分だろう。

とにかく歩いて景色や人を見て、その空間に心を遊ばせ、
じっくりと五感六感にしみ込んできたものを言葉に綴る。
特に40歳から亡くなるまでの約10年はそういった旅を繰り返す。

芭蕉の年譜を眺めていると、その頃の旅は、
より遠くへ旅立っていく為の助走ではなかったかとも見えてくる。

50歳の時には我が子のように面倒を見てきた甥の桃印を33歳で、
翌年6月には親しくしてきた女性寿貞を相次いで亡くし、
故郷伊賀上野や大阪で住吉神社などを参詣した後の10月、自身も客死した。

悲しみや積年の疲労がたたって・・・と言うのもあっただろうが、
旅から旅へと生きることで既に浮世離れしていた芭蕉は、
軽やかに彼岸へと渡ったようにも思えてしまう。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/