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2回鳴ったはずの目覚まし時計の音など全く聞いた覚えがない。その真っ暗な熟睡の淵から2秒くらいかけて意識が戻ってきた次の瞬間、私は戦慄せずにはいられなかった。デジタルの時計は「12:03」を示している。今日の待ち合わせは午前11時・・・。とにかく寒空の下待っているであろう友人に謝罪のメールを入れつつ家を飛び出した。

そうして13:21の築地市場駅A1出口、そのままひれ伏すような勢いで友人と落ちあった。あぁ、2時間半の大遅刻。喫茶室で日本茶をおかわりしながらも待っていてくれたその奇特な友人は、モデルで作詞家でもある睦(むつみ)さん。知り合ってから15年以上がたっている貴重な先輩だ。私はとにもかくにも「ごめんなさい」を連発した。

その睦さんとほんの少し場内を散歩してから、場外のとある店に向かった。と、簡単に書いているが、この日は12月30日、築地年内最後の営業日だ。

お正月の食卓にのぼる食材を調達しに、それはもう多くの客が訪れており、場内の海鮮丼もの屋も軒並み長蛇の列が作られていた。歩くのだって容易ではない。ここは、急がば回れ。狭い路地を通る最短距離ではなく、人口密度の低そうな波除通りと新大橋通りを通って目指すお店へと向かった。まずは、腹ごしらえだ。

築地と言って最初に頭に浮かぶのは魚なのだけど、実はここ、東京の、いや日本の食を支える場所だけあって、魚以外にも美味しいものが山ほどある。というのも、場内や場外の飲食店は、日頃市場に出入りする舌の肥えた業者や料理人さんたちがさっと食事をとるため、何気ないお店でもしっかりと美味しいものをだしているのだ。しかも、魅力的なコストパフォーマンスを備えているところも少なくない。

その1つ、場外にある鶏肉専門店の鳥藤さんは、鶏肉の販売だけでなく、その美味しい鶏肉をさらに美味しく料理して食べさせてくれる店舗も構えている。・・・と、知ったような事を言っても、その鳥藤分店に足を踏み入れるのはこれが初めて。でもここの実力はよーく知っている。

こちらが作っている「とり弁当」は一時かなり頻繁に食べていたのだ。冷めてもなお十分すぎるほど美味しかったそのお弁当に衝撃を受け、いつか必ず調理したてのものを食べたい!と思っていた。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/