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 須走口5合目(標高2000m)からしっとりとした森の中を快調に、間近に小鳥のさえずりを聞きながら進む。

登山道に入ってすぐの小御岳神社では、この小さな旅の、でも大きな冒険が無事に終えられるようにと手をあわせた。

 私はヒマラヤを歩いた時に教わった事を思い出そうと、友人2人の一番後ろに連なって自分の足下を見ながら一歩ずつ歩いた。

山のエキスパートであるIさんは、意外な程基本に忠実で緩やかな斜面でもジグザクに蛇行しながら歩いている。こうする事で疲労を抑える事が出来るし、後々への体力温存にもつながる。頼もしい隊長だ。個人的に、歩き始めてみた感触も悪くない。段々と温かくなってくる体の芯にエネルギーを感じ、数年来の夢であった富士登山が始まった。

 森の木々が段々と低い植物に変わる辺りから、地面も砂礫に変わる。

焦げ茶色でサクサクとした軽さを持つそれは、溶岩が砕けたもの。今は活動していないとはいえ、ここが火山である事を物語っている。ふとヘリで取材したハワイ島、キラウエアの赤い溶岩を思い出した。あんな風に何千度という温度でドロドロだったこともあるだろう、この砂礫をサクッサクッと踏みしめると不思議な感じがした。こういう感覚が好きだ。

自分が誰で、今がいつで、ここがどこなのか、ふと分からなくなってしまう目眩のような感覚。登るにつれ気温は下がるけど、背中に背負ったリュックの下は汗でぐしょぐしょ。薄着になっていく。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/