このエントリーをはてなブックマークに追加

 浅草公園六区でバスを降りた。降りたはいいけれど、浅草演芸ホール2月中席夜の部開演までには時間がある。もちろん、早く入って昼の部に忍びこんだとしても、寄席は基本的に昼夜入れ替え制ではないから何も問題ないのだけれど、なんだか今日は「最初から最後まで」を堪能したい。で、どうしたものかとトボトボ、横断舗道まできたところで見つけてしまった。浅草今半。肉!見つけるなり飛び込んで牛丼弁当1,575円をゲット。会場の売店で売ってる助六弁当でもいいか、なんて思っていたのだから、当初思っていたより随分豪華なお弁当になってしまった。ま、いっか。こうして早くも用は済んだが、まだまだ時間はある。
じゃあ、と、今度は前々から行ってみたかった喫茶店アンヂェラスまで足を伸ばし、ダッチコーヒーと店の名前を冠するケーキ、アンヂェラスを頂いた。アルプスの古い山小屋のような店内とバタークリームのつるっとした食感が懐かしさを呼び起こす。ここでようやく忙しない街のテンポから解放され、人心地がついた。笑う準備は万端。こうして、私は浅草六区へと戻った。

 かつて浅草六区と言うと、見世物小屋や映画館、浅草オペラやストリップ小屋など、さまざまな劇場や娯楽施設が所狭しと建ち並ぶ都内随一の賑わいだった。日本の芸能の中心だったといっても過言ではないのかもしれない。エノケンやコント55号、渥美清、ビートたけしなど、大スターがここから次々に排出されていったのだ。

 そして、そんな場所で今も人々に娯楽の場を提供しているのが、浅草演芸ホールだ。と言っても、ここが出来たのは、昭和39年、東京オリンピックの年。奇しくもテレビ時代の幕開けとも言える年で、娯楽の中心は劇場からテレビへ移行していった中だったが、浅草初の寄席の定席には、志ん生や円生らがその名を連ね、活況を呈したそうだ。しかも、若手に志ん朝や談志。まさにスターだらけ。たまりません。


The following two tabs change content below.
諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/