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 子供の頃から七夕といえば、せっかく夜空を見上げても星ひとつ見えなかったり、ともすると雨が降っていた記憶しかない。それもそのはず、旧暦7月7日は、今年で言えば8月24日にあたるわけで、七夕がこんな梅雨のさなかになってしまったのは明治6年の改暦後なのだ。しかし、そんなこととは知らず、織姫と彦星が会えるのはその日だけだと聞き、なぜか二人を隔てる天の川が夜空に出現するのも七夕だけだと思い込んでしまった幼い私は、大空に滔々と流れる星屑の大河を今年も見ることができなかったのかと、ひどく落胆した。その分、私の頭の中の天の川は、宝石をちりばめたなんてことじゃすまないくらいに美しく創造されていった。

 ところで、この七夕にちなんで行われる市が、江戸の頃から東京下町に立つ。あ、もちろん、願いごとを書いた短冊を笹に飾り付けたりする七夕まつりとは、別にである。私は、それがどのように残っているのか知らなかったのだが、7月8日、実際に足を運んでみるとあまりの規模に驚かずにはいられなかった。

 
 

 JR鴬谷駅から大通りへ出て、スカイツリーのそびえ立っている方へ歩いて行くと、交通規制された言問通り計7車線分の両側に、ずらりと店が並んでいた。そこが、埋め尽くされんばかりの人でごった返している。これが、下町の夏の風物詩のひとつ、入谷の朝顔まつり(朝顔市)だ。 一方の車線に軒を連ねる120軒すべてが朝顔業者で、店の棚、店の前に、ところ狭しと朝顔の鉢が並べられている。また、中央分離帯を挟んだ反対側には、100軒ほどの様々な露店が立ち並び、美味しそうな匂いが次々と鼻をくすぐってくる。早くも気持ちが高揚してしまうこの朝顔まつりは、なんと毎年40万人の人出で賑わうそうで、7月6〜8日の3日間開催されている。

 早速、朝顔の花を愛でようと、鉢の並べられている方へ行ってみた、が・・・ん?れれ?花が、咲いていない。よくよく、考えてみれば当然のこと。お昼過ぎに入谷へ到着した寝坊生活の私。しかし、朝顔は朝の顔と書くほどに、朝でないとその最も美しいお顔は拝めないのである。着いて早々、痛恨の極み。
それでも、しぼんだ花を抱え、天に向かって蔓を伸ばす朝顔の鉢を見て歩いていると、時々柔らかく開いた花をつけたものもある。私は貴重なシャッターチャンスを逃すまいと、すかさずそこへレンズを向ける。花に勢いはないが、それもそれなりに恥じらう乙女のようで可愛らしい。


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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/