このエントリーをはてなブックマークに追加

 午後7時過ぎ。浴衣を着た小学生の女の子たちが、目をキラキラさせながら櫓の周りに集まり始めた。

 先頭にいるおじさんに連なって、徐々に踊りの列ができ始める。

 しかし私は驚いてしまった。

 なんとこの子たちは、おじさんと同じ踊りをほとんど迷うことなく上手に踊り始めてしまったのだ。

 確かに複雑な振りがある訳ではないが、それでも一度や二度踊ったことがなければこうは踊れまい・・・と思って気がついた。

 そうか、この子たちは子供とはいえ、毎年参加している佃っ子たちなんだ!

 7月14日、私が訪れたのは佃島の盆踊り。

 お盆の時期の踊りと言えば、徳島の阿波踊りや郡上八幡の郡上踊り、熊本は山鹿の灯籠まつりなど、個性のある踊りを自分なりに見たり踊ってきたりしてきたぞという、ささやかな自負がある私である。

 東京にも何か素敵な盆踊りがあるのではないかと思って、以前から興味を持っていたのがこの佃島の盆踊りなのだ。
 東京都の無形文化財にも指定されているが、なにより演歌調の○○節や○○音頭といった賑やかな音楽で娯楽的に踊るのでないところに惹かれ、是非体験したいと思っていた。

 しかも、この盆踊りの会場の一画、隅田川に一番近いところには、小さな祠が盆踊りの時期になると建てられていて、辺りにはスパイシーな抹香の香りが漂っている。

 この祠の中には無縁仏と書かれた掛け軸があり、沢山の野菜が供えられているのだ。

 そう、かつて隅田川の上流で事故や災害があると、その遺体が流れ着くのが佃島だった。
 おそらく数えきれない程の無縁仏に、この島の住民たちは出会ってきたことだろう。

 この佃の盆踊りが、無縁仏を弔う為に始められたとする説もあるようだが、どうやら京都本願寺に原型と言われる「チンバ踊り」があったとされている為、そうは言い切れないようだ。

The following two tabs change content below.
諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/