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「一生懸命、座って下さい。」

という若いお坊さんの説明に、面白い日本語の組み合わせだなぁなどと思っていた私は、この時点でもまだどこか他人事だったかもしれない。
 初心者説明会が終わると2階に上がり靴下を脱ぎ、荷物を棚にのせ、経本などをお借りした。そして、用心しながら左足で本堂の敷居を跨いだ。

ここ数年ずっとしたいと思っていたのにしていなかったこと。それが坐禅体験。

少し前に、ものの参考にと読み直した本が鈴木大拙の『東洋的な見方』だった。それがきっかけで、より分かりやすい禅の本をパラパラとめくっていたら、坐禅への想いが再燃した。



そこでインターネットで探し、辿り着いたのが、谷中の全生庵というお寺の日曜坐禅だ。

早速申し込みをした。したものの、もしも私1人しかいなかったらどうしようとか、想像を遥かにしのぐ厳しい世界だったらどうしようとか、未知の世界への不安が押し寄せてこないでもなかった。
 しかし、そういった余計な考えを取り去ってしまうことこそがきっと、坐禅の入口ではないか・・・なんて思いながら、私は谷中駅から続くさんさき坂を登った。

午後6時。

お堂に入るとまず3つのお経を読み、次に臨済録をもとにご住職から法話を伺った。無宗教といわれる日本に生きる普通の30代である私は、みんなで声を合わせてお経を読むなんてことからして、既に未知の体験だ。
 クリスマスに教会にすら行ったことのない人間である。こんなにも宗教的な空間に当事者の一人として身を置く経験など皆無だ。むしろ、どちらかというとそういったものには抵抗を覚える方だ。
 もちろん、海外取材ならばかなり濃厚な場所にお邪魔させて頂いているが、基本的に私は客観的にレポートをする立場。いくら積極的に感情移入を試みてみても、やはりそこには大きな隔たりがある。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/