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それは1時間後の1時から始まると言うのに、既に会場の隅田公園には観客の方が集まり始めていました。私は設営された観客席ではなく、後ろの石垣のへりに腰を下ろし、バッグに入っていたチョコレートをつまみながら1時間待機することにしました。
ところがこの1時間がとても早く過ぎていきます。

満開の八重桜を眺め、次から次にやってくる観客の流れを見、その中にいらっしゃるいろんな国の方お国を想像し、開催者のアンケートに答え、解説の方のお話に耳を傾けたりしていると、もうあっという間に伝法院から浅草寺を通ってやってきた流鏑馬の行列が目の前に現れました。
隅田公園の新緑の下に続く、即席の馬場に現れたこの風雅な行列に、思わず会場から溜息が漏れます。見たこともない大名行列を思わせます。

この長い行列が馬場元から馬場末までを一巡して配置し終えると、間もなく、的が準備され、早くも一頭の馬が人を乗せてはやての様に目の前を駆け抜けて行きました。

へ?
は、はやい。

あまりの早さに一瞬何のことがよくわからないくらい、目の前を美しい馬とそれに股がった射手とが通り過ぎていきました。しばらくすると、次の馬がスタート。

私の見ている遥か左手に、一の的があり、私の目の前に、二の的、ゴール直前に三の的があり、それらすべてを馬上で射手が弓を引いて狙うのですが、いやいや、無理無理。本当に、間近で見ていると馬の駆ける早さと言うのは、びっくりする程早いのです。

あんな馬の上から矢を射るなんて、しかも、次から次に三本もの的を射抜くなんて、まるっきり無理なことに思えてしまいます。

ところが、この二人目の射手の方は、私の目の前で二の的を見事に居抜き、走り去ったそのあとには、パーンと音をたてて二枚に割れた的の後ろから紙吹雪がパッと広がりました。快い素晴らしい光景。

馬の足音が近づいてくるときめきと、人馬一体となった美しさと、的を射抜かれた音や見た目の快感が、僅かな時間で次々とやってくるため、ついつい誰もが歓声を上げてしまいます。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/