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「ちょっと早めで進行してる!早く来れたら来てー」
7時29分に聖天町の若旦那からのメール。5時間ベッドで寝返りを打ち続け、とうとう一睡も出来ないまま朝を迎えてしまった。ベッドから這い出し、エア足袋、半ダコ、ダボシャツ、手ぬぐいをトートバッグに詰め、日焼けどめの上から化粧をして、私は浅草へ向かった。今日は三社祭だ。

 9時、地下鉄浅草駅から出てくると、さっそく低い掛け声が聞こえてきた。気だるい身体に微かに電流が流れる。が、首を伸ばして辺りを探してみるも、どこかの建物の奥を通っているらしく、神輿の姿は見えない。まあいいかと、聖天町のある隅田川上流方面へ歩き出した。しかし、気になって松屋浅草の下で駒形方面を振り返ると、キラリと光る神輿が見えた。胴体には白いサラシが巻かれて桃色の紐とたくさんの鏡が取り付けられている。そして、その頂きには金色の鳳凰。一ノ宮だ。浅草に着いた途端、一ノ宮に会えるなんて幸先がいい。私の身体に再びピリリと電流が走った。  三社様の三つのお神輿のうち、鳳凰が乗っているのは土師真中知命(はじのまつちのみこと)の御霊が移されている、この一ノ宮だけだ。あとの二つの神輿にはそれぞれ、檜前浜成命(ひのくまのはまなりのみこと)と檜前竹成命(ひのくまのたけなりのみこと)の御霊が移されており、神輿の上には金のたまねぎみたいな擬宝珠が光る。この三神、もとは浅草に暮らしていた開拓の祖、つまり人間だ。
 待ち合わせの聖天町に向かう途中、二ノ宮にも遭遇した。花川戸一丁目から花川戸二丁目に受け渡されているところで、その次が聖天町だ。これは急いで着替えねば。友人たちと合流し、お借りした某所で聖天町の半纏に袖を通すも、帯がない。しかも、三社祭はどちらかというと黒い股引や前掛けをしている人が多いため、深川の祭りで揃えた私の白の半ダコが少し気恥ずかしく思えてくる。何だか締まらない格好だ。
ともあれ、急いで花川戸二丁目と聖天町の受け渡しポイント、言問橋西交差点付近へと向かった。同じ半纏を着た人たちが既に多く集まっているその場所からは、今年も隅田川の向こうにスカイツリーが神々しくそびえ立っているのが見える。


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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/