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 湯島天神で開催されている「梅まつり」を訪れるべく、湯島駅から地上へ出た。建物の影を冷たい風がすり抜けて行く。ぶるるっ。身を震わせながら歩くこと1〜2分、「湯島天神女坂入口」の道しるべを発見。 それを右折すると、古そうな飲食店が並ぶ通りの突き当たりに石垣があって、高くそびえる湯島天神の社殿の一部が見えた。
どうやら、その周りには小さな白い梅の花がちらほらと咲いているようだ。
 女坂の下まで来て見上げてみると、思ったよりもずっとたくさんの可憐な花が、黒々とした細い枝にちりばめられていた。確かに季節が移り変わっていることを感じながら、途中に踊り場のあるゆるやかな階段、女坂を、一段一段のぼりきる。
と、その頂上で直角に交わっているのが男坂。見下ろしてみるとこちらには踊り場はなく、傾斜も結構キツそうだ。こんな風に、互いに近い場所にある石段や坂道は、たいていどこでも急峻な方が男坂、緩やかな方が女坂と呼ばれている。そう言う意味では、対照的な名前の道が並んでいるのはさして特別なことではないのだが、なぜか湯島という土地には、思いもよらないものが隣り合って存在しているイメージがある。

私にとってその筆頭は、学問の神様のいるここ湯島天神と、門前にあるラブホテル街だ。聖なるものと俗なるもの、なんて言ってもいいのだろうか。受験生なんかが天神様に真剣に手をあわせているすぐそばで、男女が人目を避けるようにしてあやし気な建物に吸い込まれていく。そうかと思うと、戦災を免れた古い町並みとそびえ立つ高級賃貸マンションと言うイメージもある。
まぁ、一つのカラーだけに染まっている街なんて、あったとしてもつまらないのだろうけれど、湯島と言う土地には相対するものが混ざり合って作り出す、なにか特別な魅力があるのではないかと言う気がしてしまうのだ。


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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/