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 とにかく汗が引かない。ゆかたを着て早足でお寺まできた私は、なんとか午後5時のほうろく灸に間に合った。受付をすませ、前列の端に腰を下ろすと「前へどうぞ」と白い袈裟を着たお坊さんに促された。よくよく見てみると前列の更に前、奥の方に2人座っていらっしゃる。私は頭を低くしながら前を通り、その隣に腰を下ろした。自然と正座をしたが、板の間にカーペットを敷いただけのその床は畳よりもうんと固く、足首から甲にかけての骨のでっぱりがそのままぐりぐりと痛みとなって跳ね返ってくる。うっ、これは中々の修行になりそうだ。

 毎年7月下旬の夕方に、神楽坂にはほおずき市が立つ。今年は7月24日と25日。翌日には阿波踊りも開催され、ゆかたを着た人やお酒を片手にそぞろ歩く人たちがあふれる。その期間中である25日の午後3時と5時に、このほうろく灸は開催された。場所は神楽坂の中程、ほおずき市のへその部分にあたる日蓮宗のお寺、善國寺。通称、毘沙門様だ。

 私は夕方5時の回に参加しようとやってきたのだが、ゲタでのんびりと歩いているうちに時間ギリギリになってしまい、到着寸前はゆかたの裾を引っぱりあげながら早足になってしまった。神楽坂駅から坂を降りていくと、徐々に出店が密集し始め、善國寺の門の前にはゆかたを着たお嬢さんが売り子をしているほおずきの店が並んでいた。境内に入ると紅白の提灯が縦横に釣ってあり、子供たちの遊べるテントがいくつも立っていた。辺りを見回すと、お堂への階段に「ほうろく灸 受付」の文字を発見。初穂料3000円をお納めし簡単な受付をすませ、中へ促された。そこにはすでに30人程の人たちが待っていた。時間は4時55分。もぐさの青く乾いた草の香りが漂っていた。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/