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2012年01月24日 配信

『はやぶさ 遥かなる帰還』(2月11日公開)に主演した渡辺謙さんが大阪市内で記者会見を行った。



『はやぶさ 遥かなる帰還』は、惑星イトカワにタッチダウンして、岩石のサンプルを持ち帰るという世界初の“サンプルリターン”の偉業を成し遂げたJAXA(宇宙航空研究機構)の“はやぶさプロジェクト”を映画化した。渡辺謙さんは、同プロジェクトのプロダクトマネージャーを努めたJAXA川口淳一郎教授を演じる。



「技術立国といわれた日本、経済も含め下がりつつある日本に危機感を感じていました。このまま日本の評価が下がっていくのか…そんな時にはやぶさのニュースを目にしました。こんなに凄いことができるんじゃないかと感じました。映画化の話を聞いて、今やるべき題材と感じて出演を即答しました。ただ脚本の最終工程のときに丁度、東日本大震災が起こり一旦は躊躇しました。でも成果を賞賛する物語ではなく、困難を乗り越えていった技術者達の話だったので、スタッフも一致して制作にまい進することに決めました。」

はやぶさを題材にした映画は、昨年末から今年前半にかけて、本作を含め3本が公開されるという異例な状況。企画した東映の坂上順氏によると、企画をJAXAに持ち込んだ時点で7本の映画化のオファーが着ていると言われたという。「他の作品は殆ど意識していない。本来のはやぶさプロジェクトの意義を伝えるのは、宇宙開発の重要な要素、僕らは最後の広報活動のひとつとしてやっているぐらいに捕らえている。」と渡辺謙さんはこの映画ではPR活動でもプロダクトマネージャーという役割を担うなど、本作にかける意気込みが伝わってくる。

“はやぶさプロジェクト”は、構想から探査機の完成までに十数年。2003年の打ち上げ後も、搭載したイオンエンジンの不調や、サンプルを採取する機械の不調など困難を乗り越え、当初の帰還予定だった2007年を3年延長し、探査機の設計寿命を大幅に超えて運用されながらも2010年に地球に帰還した。帰還時にサンプルを保管したカプセルを分離した後、はやぶさの探査機本体は大気圏で燃え尽きその役割を終えた。このプロジェクトには膨大な技術者が関わり、またその周辺にもさまざまな人間ドラマが展開されていた事実が描かれている。

「関わったスタッフの諦めの悪いところにシンパシーを感じました。じたばたしながら、障害や困難なことに何処まできちっと向き合っているのかを考えながら演じました。研究の成果やテストは山のようにあって、捨てたもの切り刻んだものはいっぱいあったと思う。この研究の成果の上にはやぶさが成り立っていた。日本の技術力が下支えしているということ。今、日本はちょっと我慢している、縮こまって風圧に耐えているように思える。この映画で次の世代にも夢を持ってもらって、日本を作り変えて行って欲しいと思います。」

「はやぶさ 遥かなる帰還」は、2月11日(土)より公開される。
◇映画詳細はこちら




12月13日 大阪市内
取材/写真・文 羽渕比呂司

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羽渕 比呂司
羽渕 比呂司
 大阪ガス行動観察研究所社員