このエントリーをはてなブックマークに追加
2013年10月11日配信

「女子が男子に読んでほしい恋愛小説ナンバーワン」の支持を集める越谷オサムのベストセラー小説を映画化した『陽だまりの彼女』(2013年10月12日公開)。仕事の取引相手同士として10年ぶりに再会を果たした浩介(松本潤)、真緒(上野樹里)。中学時代、初恋関係で結ばれていながらも、離ればなれになったふたりは、急激に仲を深めていく。ところが真緒には、誰にも知られてはならない謎があった。



メガホンをとった三木孝浩監督は、『ソラニン』『僕等がいた』に続く人気原作の映画化。過去2作品同様に青春、恋愛がキーワードになるが、今回はそれに加えてファンタジー的な驚きも交えられている。「こんな恋愛があったらいいな、という男子の妄想物語。原作を読んだとき、まずそこが自分にとってハマれるポイントになったんです。思春期に人を好きになって、打算のない恋愛感情を10年も持ち続けて、再会してまたもや恋愛に落ちるという、その設定自体がファンタジー。また、普通の恋愛映画だと思って観ていたら、きっと『えっ』となる展開を盛りこんでいる。あえて僕は、『この映画はファンタジーですよ』と主張したい。それを頭に入れて見たほうがおもしろい」

映画には、抜群のソングライティングとポップセンスでビートルズと人気を分けあった往年の人気バンド、ビーチ・ボーイズの『素敵じゃないか』が使用されているが、本曲を収録した『ペットサウンズ』というアルバムタイトルも、ファンタジー要素の伏線となる。「そうですよね、音楽好きは『おお、なるほど』と思うはず(笑)。このヒントは、ギリギリですよね! それを含めてサプライズ感を楽しんでほしい」

浩介の少年時代を演じたのは、『鈴木先生』の北村匠海。彼もまた「台本、原作で内容は知っていたけど、でも完成した映画を観たときに新鮮な気持ちになれたんです」と感想を語る。「内容が分かっていても『どうなるんだろう』って思えるくらい、ドキドキしました。また、高校生なりに、(恋愛の)幸せのつかみかたを学ぶこともできました。浩介と真緒が醸しだす雰囲気、空気感、空間がとても素敵に思えたんです。真緒が、CDショップの試聴機で、身体を揺らしながら音楽を聴いている場面など、理想的なシチュエーションに感じられるものがたくさんありました。そういった姿を見つめる浩介の視点が、まるで映画を観ている自分のもののように、浩介と同じ感情が芽生えてきました」

一方、中学時代の真緒に扮した映画初出演・葵わかなは、「男の人って好きな人を見つめるとき、こういう表情をするんだな、と思いました」と話す。「真緒と再会したときの浩介の表情。あと北村くんも言っていましたが、真緒が試聴機で音楽を聴いているところを見つけた浩介の顔。そのときの松本潤さんの目が、ものすごくキラキラしていて、でもなんだかちょっと笑っている。この映画は登場人物の表情がどれも印象的でした。そういう松本潤さん、上野樹里さんが演じられた雰囲気を、中学生時代の浩介、真緒にも感じてもらえるように考えて、表現しました。自分は演技のことでいっぱいいっぱいでしたが、光に包まれた映像の温かさに感動しました」

確かに本作は、浩介、真緒の恋をする表情と目線の繊細な動き、美しさが心に残る。自分も恋をしているとき、きっとこういう顔をするんだろうな――と思い、恋愛への欲求をかきたてる。「原作で描かれていた男性的な目線を軸に、映画化するにあたって女性目線も色濃く描きました。浩介はあのときこういう風に行動したけど、それを見た真緒はどう思っているんだろう。そういう、ひとつひとつの心の動きをしっかり追うことで、男性は男性として、女性は女性として、それぞれに親近感を持ってもらえると思います」(三木監督)



映画『陽だまりの彼女』は2013年10月12日公開
◇公式HPはこちら



取材/写真・文 田辺ユウキ(映画評論家)


The following two tabs change content below.
田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。