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2013年10月21日配信

封切られるやいなや賛否激しい評価で話題となっている、お笑い芸人・松本人志の映画監督第4弾『R100』(公開中)。謎のSMクラブにハマってしまったシングルファザーの男性が、トラブルに巻きこまれていく様子を描いた本作。公開初日の10月5日、大阪・梅田ブルク7では、観客からの質問に松本人志監督、主演・大森南朋が答えるというティーチインイベントが開催され、その内容について言及した。



SMという設定は、松本監督がテレビのバラエティー番組でよく使ってきたスタイル。自身も「M」を公言しているとあって、「自分の願望を主人公に重ねているのか」との質問に、「ど真ん中のSMクラブには行ったことがないですが、されても良いかなと思います。この映画に描かれているように、そういう行為が日常というもののなかで繰り広げられる、そういうシチュエーションが好きなのかもしれません」。

映画のなかで殴られ、蹴られ、ムチで叩かれ…とハードなプレイを受けた大森も、松本監督の答えに重ねて、「普段経験できないことを、やらせていただきました。演技をしながら、監督はこういうことをやられたいのかな…と思いました。もしかすると、自分がやりたいことを僕にやらせて、それを見ているプレイだったのかも」と語り、「役者は仕事を“受ける側”なので、そういう意味ではM。仕事をしていて気づかされたこともある。まあ、ドMではないです」と本業に結びつけて解答。

また「映画に登場する主人公の家など、昭和テイストな感じがした。女王様が『超人バロム・1』のドルゲ魔神に見えたりもしたんですが、影響はありましたか? また、劇中でダウンタウンブギウギバンドの曲を使ったのは、なにか理由があるのですか」という、なかなか深い質問に松本監督は「映画監督をやることは、自分の内面をどんどん出していかないとダメ。だから自分の好きなもの、経験、考えを出していきたかった。どうしても子どもの頃の体験などが、知らず知らずのうちに表れるし、それを隠すつもりもない。この映画が懐かしい感じがしたのは、そもそも僕の好きなテイストなのかも。この映画はパロディじゃない、むしろシリアスで怖いものなので、緊張感を出すために、ちょっと昔のイメージでやってみました。また車の追跡のシーンの挿入歌は2曲候補があったんです。もう1曲も、ダウンタウンブギウギバンドの『身も心も』。結局劇中では『サクセス』を使用しました。自分のコンビ名がダウンタウンだから、というわけではないけど、どこか引かれるものがある」。

映画を作るたびに、カルト的な好意やかなり厳しい酷評が飛び交い、幅広い意味で評判になる松本映画。大森はそんな松本監督について「やはり松本さんは存在感がある。監督がしっかり一番上に立っているから、スタッフ、役者をちゃんと同じ方向に進んでいける。監督が悩めばスタッフも待つ。そういうやり取りが、すごくいい空気を生んでいった。松本監督は巨匠の空気を持っている」と絶賛。これからの松本映画に期待を寄せた。



映画『R100』は全国公開中
◇公式HPはこちら



取材/写真・文 田辺ユウキ(映画評論家)


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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。