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2013年05月27日配信

健康管理、減量サポートに効果的なレシピ本で話題になった健康計測機器メーカー、タニタ。そんなタニタの社員食堂の裏側から着想を得たのが、映画『体脂肪計タニタの社員食堂』(公開中)だ。社運をかけたダイエットプロジェクトに挑む肥満社員たちと、それを手助けする栄養士の姿を、ユーモアをまじえながら心温かく綴っていく。

メガホンをとったのは、『デトロイト・メタル・シティ』『ボックス!』でヒットを飛ばした李闘士男監督。「いまはまた(体重が)増えつつあるんですが、僕もかつて18キロの減量経験があるんですよ!」とお腹をさすりながら振り返るが、ボクシング経験者とあって確かにガッチリとしたマッチョ系の体つきをしている。



「当時は太りすぎてしまったので、治療のひとつとしてダイエットをはじめたんです。規則正しい生活を心がけること、そして運動をすること。それをお医者さんから言われました。ただ、返す言葉が『いや、それは無理です』だった。現に、それが今までできなかったから太ったわけだし(笑)。でも、太っていると『無理』が口癖になって、逆に肥満の自分を肯定しちゃうんです」

かくいう筆者も執筆業という不規則な生活が強いられる職業。この仕事をはじめた10年前に比べて一時は15キロ以上太ったことから、2012年にダイエットをスタート。チョコレートなど間食が欲しくなったら味付け海苔で代用するなど食べものに気をつかい、家では腹筋と腕立て伏せを続け、飲酒を極力控えた結果、半年間で13キロ以上の減量に成功した。ただ李闘士男監督が話すように、太っていたときは「いまの自分がベストなんだ」と思いこみ、太っているという現実から目を背けていた。痩せてから、明らかに毎日に対するモチベーションが変化した。減量は、自分としっかり向き合うことからはじまる。

「そうそう。太っていたとき、本当は気持ち的につらかったでしょ(笑)!? みんなからいろいろ言われるし。太っているのは決して悪いことではない。だけど、そうやって『自分は言い訳をしている』と自覚を持っていたということは、自信がない裏返しだったはず。つまり僕がこの映画で伝えたかったのは、『だったらダイエットで自分を変えましょう、自信をつけましょう』ということ」

ダイエットプロジェクトを開始する社員たちは、高カロリーの食事の誘惑と闘い、汗を流す努力をする。その“特訓風景”はさながら格闘映画のようである。

「ボクシングやプロレスと違って、低カロリーのものを食べている画とか、映画としての表現が難しい。食べること=闘いにつながっているようにみせなきゃいけない。だから、自分の内面とどのように闘っているか、そこを表そうと思った。自分を甘えさせる気持ちとの闘いですね!」

本作は「減量」がテーマではある。しかし「何か/誰かのために頑張り、達成し、幸せを得る」というのは何も減量に限ったことではなく、どんな題材にも応用できる。

「そう、本作は単に『減量しているだけの映画』ではありません。『痩せることのマメ知識ばかりのHOW TO 映画にしてはならない』とずっと考えていました。観る人に共感してもらうためには、ビハインドストーリーをしっかり描くことが必要。ひとつは、ストレス社会の反動。太ることの大きな要因は、幸せを感じられないストレスからくると言われています。そういう状況から、心が解放される喜びを訴えました。そしてもうひとつは、人は何かの目的があれば、きっと弱い自分を変えられるということ。家族のため、好きな人のため、どんなことでもいいんです。そのために頑張る人たちの奮闘を伝えたかった。本作をご覧いただくと、きっと『自分も何かやろう!』と気合をもらえると思います」


映画『体脂肪計タニタの社員食堂』は公開中
◇公式HPはこちら



取材/写真・文 田辺ユウキ(映画評論家)


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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。