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 芥川賞受賞の「蛇にピアス」が映画化された。蜷川幸雄監督、刺激的なシーンを体当りで演じた主演の吉高由里子(20)さんが大阪市内で会見を行った。

 金原ひとみが20歳で芥川賞デビューを飾った「蛇にピアス」。渋谷、あらゆる人々が行きかう街で孤独に生きるルイ(吉高由里子)。彼女は”何か”を求め街をさまよっていた。ある夜、アマ(高良健吾)と出合い意気投合、やがて大都会の闇の世界へ引き込まれてゆく─。映画詳細はこちら


―ロンドンの若手作家に刺激された

 蜷川監督がロンドンに行く機会があり、そこで若手の監督が「蛇にピアス」の映画を撮りたがっているということを耳にする。「僕も本を読んでいたし、先にこされるのは嫌だと思ったから手を上げた」と経緯を語る。
 原作の金原ひとみさんは、蜷川監督のファンだったという。何度も舞台を観劇しているということは監督自身も知っていたそうで、映画化への話は進んで行った。


―衣装合わせで最後の判断を仰ぐ

 今回主演に選ばれた吉高由里子さんは、原作を読んでいたという。この映画出演にあたり、過激なシーンは当然、必要と感じていたが、衣装合わせのときに、監督に向かって胸を開いて見せたという。
 「オーディションでも少し話しただけだったので、ちっちゃな胸の私でいいのかと思ってた。配役を変えるならまだ間に合いますよ」と言いたかったという。一方、吉高さんについて蜷川監督は、「撮影現場では傷つくことも言った、しかしそれには少しも動じない」。演技については「先の先まで読むことができる感性が備わっていると感じた」という。


―舞台には出ない方がいいね(笑)

 映画では、特別出演として、小栗旬や唐沢寿明、ソニンなど舞台出演などで蜷川監督と関係のあった俳優がたくさん出演している。蜷川監督は、「スケジュールも自分たちで空けてくれて、撮影も楽しんでくれていたようだ」と語る。
 今後、吉高さんを自身の演出する舞台に起用することはあるのかという質問には、「舞台には出ないほうがいいね(笑)」といい、「微妙に揺れる表情は映像でしかでない、何も舞台が優れているとは限らない」と語る。


―監督業には少し後ろめたさも・・・

 映画を作ることに「名前で撮らせてもらっている部分もあり、少し後ろめたさを感じる」という蜷川監督。しかし今後も映像の仕事はしたいと、70歳を超えているとは思えない、ギラギラした表情で今後の抱負を述べた。


―お互いに相手の何処までを知っているのだろうか─

 舌に切れ目を入れるスプリットタン…刺青…無数に空けられたピアス…ベッットシーン…数々の過激な描写シーンが話題になっている。しかし、物語後半からは、ルイ(吉高由里子)が、同棲していたアマ(高良健吾)のことについて何も知らなかったことに気づき、しかしいくら悔やんでも、もう時間は戻ることはない。そんなルイの心の描写がクローズアップされてゆくことになる。

 蜷川監督は、「この映画を観て本当に感じてほしいのは、相手の何処までを知って暮らしているのかということだ」と語る。「ケイタイやメールでやり取りを済ますようになった生活だが、本音の部分では、相手のことをもっと知りたいと思っているのではないか、その部分を描きたかった」という。
映画「蛇にピアス」は9月20日(土)より全国公開される。

[8月11日取材・大阪市内]


(写真/文 羽渕比呂司)



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