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2014年03月17日配信

2006年からスタートした「VIPO/若手映画作家育成プロジェクト」の2013年度作品5本が、2014年3月8日より角川シネマ新宿(東京)、3月22日より京都シネマ(京都)にて公開される。



そして先日、参加作品でメガホンをとった5人の監督が、京都シネマでの合評審査会でトークを行い、お客さんからの質問に応じた。

疎遠だった兄を亡くした青年が、「お前の兄貴と約束したことがある」という謎の男とバイクで旅に出る『鉄馬と風』は、テレビの監督、脚本も手がける浅沼直也監督。「僕にも同じようにバイクが好きな疎遠の兄がいて、彼に対しての無感情な感じが自分にはあったんです。そこがこの映画のスタート地点になりました」

『カオリと機械油』は、コンプレックスを持つ女性が、勤め先の工場の倒産、好意を寄せる社長の失踪など様々な出来事に巻きこまれる物語。北川帯寛監督は主にピンク映画、Vシネマの現場で活動している。「自分の出身地・尼崎を舞台にしていますが、町への思い入れどころか、嫌で嫌で仕方がなかった。ただ、自分の経験したことじゃないと作れない、と思ってこの作品を撮りました」

奇抜なファッションをしている勘違い青年が、あるブランドでファッションリーダーとして祭り上げられる『オシャレ番外地』の高谷昂佑監督は、北九州フィルムコミッションで様々な映画の撮影・支援に携わっている。「VIPOのこれまでの作品を観ていると、シリアスなものが多い印象がありました。自分も大学時代に変な格好をしていたので、それを映画にしようと考えました」

『ミチずレ』の文晟豪監督は、CM、イベント映像などの演出を行っている。今作は、怪しげな高額バイトで危険なトラブルに巻きこまれる青年ふたりのバディムービーだ。「劇中にヒップホップの要素がたくさん出てきますが、実は僕はそれほど(ヒップホップは)詳しくないんです。入江悠監督の『SR サイタマノラッパー』を観たとき『すげえ』と思って、それをきっかけに作りました」

2002年のぴあフィルムフェスティバルPFFアワードで脚本作の入選経験がある山下征志監督は今回、理不尽と暴力が渦巻く異世界に迷いこんだ少年と少女の脱出劇『世田谷区,39丁目』で参加。「子どもを主人公にしたボーイ・ミーツ・ガールものの映画には、その年齢での美しさ、儚さがよく描かれていますが、そういう要素は避けて、暴力描写をはさんで描くようにしました」

「早く長編映画を撮りたい」と意気ごむ5監督。藤澤浩和、三宅伸行、松永大志、金井純一、中野量太など毎年、商業映画で活躍する監督を輩出している「VIPO」。さて、今回はいったい誰が抜け出すのか。



「VIPO/若手映画作家育成プロジェクト」は2014年3月8日より角川シネマ新宿、3月22日より京都シネマにて公開
◇公式HPはこちら


取材/文・写真 田辺ユウキ(映画評論家)



◆浅沼 直也 監督
1985年生まれ、長野県出身。 東放学園映画専門学校出身。東放学園学校校長賞。16?短編『えすけーぷ、風呂む』が第3回TSSショートムービーフェスティバルと東放ビデオフェスティバルで準グランプリを獲得。脚本家・我妻正義氏に師事。弱冠19歳で深夜ドラマにて脚本デビュー。13年には、テレビ東京スペシャルドラマ『明日のマドレーヌ』の監督に抜擢され、好評を得る。自主制作長編『HeartBeat』は、ゆうばりファンタスティック映画祭2012正式出品、SKIP国際Dシネマ映画祭2012長編部門に正式ノミネート。第6回田辺・弁慶映画祭で市民審査賞を受賞。テアトル新宿で劇場公開される。自主制作の次回作としてSKABANDを題材にした『TheSladaRudies(ザ・サラダルーディーズ)』を制作中。


◆北川 帯寛 監督
1989年兵庫県尼崎市生まれ。 農業高校を経て、日本映画学校映像ジャーナルコース卒業。 在学中から映画宣伝会社の手伝いやドキュメンタリーの撮影現場に関わりながら、2009年には森崎東監督作品『喜劇 特出しヒモ天国』の自主上映会を企画した。その後は、フリーの演出部として主にピンク映画・Vシネマを中心に池島ゆたか、浜野佐知、西川美和など多くの監督の作品に携わる。


◆?谷 昂佑 監督
1986年京都府生まれ。 京都精華大学在学時から自主映画制作を開始。大学を卒業後、北九州フィルム・コミッションに在籍し、主に国内の商業映画の撮影誘致・支援業務に携わり多くの大作映画やドラマの撮影に参加。シナリオハンティングから上映時のPRに至る一連の映画作りについて学ぶ。 その後自主映画制作を再開させながら同市内で撮影される商業映画の現地スタッフとして参加。本プロジェクトを機に東京で活動を始める。


◆文 晟豪 監督
1981年広島県生まれ。 高校卒業後、韓国へ留学。弘益(ホンイク)大学校 視覚デザイン学科卒業後に日本へ戻り、コマーシャルやイベント映像などを演出。同時に自主制作短編映画にも取り組み、国内の映画祭などのコンペディションで受賞歴アリ。そして大いなる野望もアリ。


◆山下 征志 監督
1976年生まれ。 2001年 東京工芸大学大学院芸術学研究科修士課程修了。2002年 脚本監督作品『漂白剤』が第24回ぴあフィルムフェスティバルPFFアワードに入選。以後ミュージックビデオ、イベント映像、短編映画等を監督。2009年より芸術系大学と専門学校にて映像・映画制作、デザイン系授業の非常勤講師を勤める。2013年 脚本監督作品『月影のマボロシ』がオムニバス映画『シフ ガフ』の一編として劇場公開。


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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。