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2014年05月07日配信

ロックバンドを組んでいた青年が、ファッション的ではなく気持ちの奥底から「ロック」を追求するため、社会からドロップアウトしていく青春映画『花火思想』(全国公開中)。東京公開時、劇中に登場する馬面のキャラクターにちなんで、馬のお面をかぶって街中をチラシ配りするなど、熱心なPRが話題を呼んでいた。「ロック」という男子的なテーマに加え、マッチョな宣伝活動を行っているが、その先頭に立つのは女性監督の大木萌だ。



大木監督は、4月から5月にかけての関西公開のため、何と3月上旬から毎週末、大阪に乗りこんでチラシ配りを実行。さらに4月中旬から長期滞在して、本作をヒットに結びつけるため奮闘している。

「宣伝のときはできるだけ“女性”という部分は意識するようにしていますが、実際のところはそうでもありません(笑)。ただ、映画の中にはダメ男がたくさん出てくるので、そういう部分は自分の女性的な目線が生かされていると思います。もともとは、脚本の阿佐谷隆輔君がメガホンをとる予定だったのですが、主演俳優も決まらないまま撮影に入り、一度中断しちゃったんです(苦笑)。これはダメだ、と私が監督として加わり、脚本を読み直したら、女性の話がまったくない。そこで、ダメ男な主人公を見守る恋人などの要素を付けていきました。女性の共感できるポイント、と尋ねられればそこかもしれません」

ただ、阿佐谷が持ってきた脚本を読んだとき「このホンは、今までの自分の人生全ての疑問や怒りに対する答えになるかもしれないと思った」と感銘を受けたともいう。「当時の自分自身の心境とリンクしたのかも」と、どこか鬱屈とした思いを抱えて日常を送っていたことを話す

劇中には、1970年代フォーク・ムーヴメントのひとり、岡林信康の楽曲が使用されているなど、音楽的な要素が色濃い。だが、「映画を作る、ということにおいては、犯罪者心理、風土、歴史に興味があるので、そういう脚本を書くことができればいいなと、漠然と考えています」と語る。

『花火思想』は大阪・第七藝術劇場にて2014年5月9日まで、京都・立誠シネマにて5月10日〜23日、そのほか全国で順次公開される。



◇公式HPはこちら


取材/文・写真 田辺ユウキ(映画評論家)


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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。