このエントリーをはてなブックマークに追加
2014年06月10日配信

『ヒミズ』『地獄でなぜ悪い』など話題作への出演が相次ぐ若き実力派・二階堂ふみ。彼女が、「いつかお仕事をご一緒したかったので、参加できて嬉しいです」と喜びを語るのが、『夏の終り』などで知られる熊切和嘉監督の映画『私の男』(2014年6月14日公開)だ。



本作で彼女が演じたのは、幼い頃に震災・津波で親を亡くしたヒロイン・花。それから、父親代わりの男・淳悟(浅野忠信)に育てられるものの、親密な関係に溺れていくようになる。

「本作は、花と淳悟の力強い愛を表現しています。私自身にとっては、どれだけ(劇中で)淳悟を愛せるか、どれだけこの作品に対して本気になれるかが重要でした。ただ、共演の浅野忠信さんが、私の中にあるものをどんどん引き出してくださって、それが花として表現できていった。細かい話し合いはしませんでしたが、それでもお互いにかけがえのない存在として現場でたたずむことができて、その関係性が、結果として良い感じで憂いをまとっていたと思います」

以前から熊切監督の初期作のひとつ『アンテナ』を観ていた二階堂。「熊切さんに初めてお会いしたとき、そのお人柄に魅力を感じて」と熊切映画を観始めた。

「『アンテナ』『ノン子36歳、家事手伝い』『鬼畜大宴会』『莫逆家族(バクギャクファミーリア)』など、どれも素晴らしい作品ばかり。私はありがたいことに、たくさんの魅力的な監督さんたちとお仕事をさせていただいています。その嬉しさがあるので、求められたらできる限り、いろんなことに応えていきたいと思うんです。今回も、タブー化した愛の物語。熱演、大胆な演技と言われることはありますが、常に100パーセントで役にぶつかっているので、それが伝わっているのかと思うと、光栄な気持ちでいっぱいです」

花と淳悟の愛は確かに一般的な目線でいうと歪んでいて、まさに「タブー」とされるものだが、しかしふたりが、社会的な関係性をこえて愛情を深めあっていく姿には、しっかりとした必然性がある。ルールやモラルにとらわれない、世の中の「当然」とされる価値観への挑発にも思える。

「私自身はそこまで意義づけて映画は観ていませんが、でもそうやって社会に影響力をあたえる可能性があるのは、作品が力強い証拠ですし、そうやって思って映画を観てくださる人が増えることは、本当に嬉しい。そういう感じ方が、これからの映画産業の豊かさに繋がっていくのだと思います。私も、そんな素敵な映画にこれからもどんどん参加できるように、がんばっていきたいです」



『私の男』は2014年6月14日より全国ロードショー
◇公式HPはこちら


取材/文 田辺ユウキ(映画評論家)
写真 増田好郎


The following two tabs change content below.
田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。