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安土城の築城を描いた『火天の城』田中光敏監督インタビュー


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 山本兼一原作の映画『火天の城』(主演・西田敏行)が現在公開中だ。織田信長が築城した安土城、その築城までに宮大工・岡部又右衛門をはじめとする民衆たちの熱いドラマが繰り広げられていたのだった―。宅ふぁいる便では、監督した田中光敏さんに話を聞きました。映画詳細はこちら>>




 物語は西田敏行さん演じる宮大工・岡部又右衛門が、信長から令を受けて琵琶湖を望む安土の地に、5層7階の楼閣、日本ではじめて天主を持つ城を築城するまでを描く。城は、現在のお金に換算して約1000億以上、大工・職人ら延べ100万人以上かかわったという巨大プロジェクト、完成までには、壮絶な明と暗のドラマがあった。


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「原作は城作りが丁寧に調べられていて、原作に負けない映画にできるのか。脚本にするのは難しかった。結局、脚本化までに4年かかりました。原作では、主に男達が活躍しますが、映画では、又右衛門を中心とした家族、仲間達、そして信長というシンプルな構成にしました」

 田中監督は、映画化にあたって有名寺院の改修などで活躍する現役の宮大工の工房や、日本に唯一という城の建築家の元へ取材を重ねたという。そのなかで、出会う棟梁らは職人気質、体もがっちりしていた。そのイメージが重なり、主演に西田敏行さんの起用となったという。

「実は、西田さんそっくりな棟梁がいたんですよ。見た目も、男前のシュッとした人よりも、棟梁らしいですよね(笑)。ご本人も又右衛門の職人気質の生き様は、自分の役者の生き様と重なるところがあるっておっしゃっていました」


─繊細でスケールの大きい築城シーン


又右衛門の妻・田鶴に大竹しのぶ、娘・凛に福田沙紀が出演。

 田中監督は、本作ではじめて時代劇に取り組んだ。撮影は東映京都撮影所を中心に、関西一円でロケーションが行われている。

「東映京都。最初は、厳しいところだって聞かされていましたが(笑)。実際は、みなさんあたたかく迎えてくれてやりやすかったです。スタッフは、何十年も時代劇をやっている方たちで、殺陣や所作の一つ一つに決まりがある。でも、時代劇のルールから破綻していることを要求しても『やってみたら』って言ってくれる。壊すところは壊す柔らかさもある」

 城を囲む石垣や、天主の柱の建立などの建設シーンは、繊細に描写されている。CGも随所で使われているが、淡路島にオープンセットを用意して建築現場を再現、時価800万の檜を使用するなど実撮影も多用している。1万人のエキストラが関わるなど撮影も大規模なものだった。

「俗に大部屋と言われる方々は、3ヶ月前から木を切る、刻むなどの練習をして、体を日にも焼いたりして準備していました。撮影時はエキストラのまとめ役になったり、手際が良くて、手抜きがない。この組織力と才能、そして結束力がある撮影所はないのじゃないか。時代劇も東京で撮ることが多くなっていて、最近は京都で撮る本数も少なくなっているって聞きます。もったいないことだなあって思いますね」


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羽渕 比呂司
羽渕 比呂司
 大阪ガス行動観察研究所社員