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2011年04月26日 配信

三浦しをんの小説『まほろ駅前多田便利軒』(公開中)が映画化された。脚本・監督の大森立嗣さんは俳優として活動の一方で映画製作の活動も開始。「ゲルマニウムの夜」(2005)で監督デビューし、前作「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」(2010)では日本映画監督協会新人賞を受賞した。本作が監督3作目となる。

「前作までのオリジナル脚本のときは、思い存分好きにやってきた。今回は、主人公が感じる『枠の中で生きてゆくつらさ』ってのを映画監督として俺も感じたと思う。最初、撮影現場に入ったときは不安で、ある意味チャレンジでした。映画が完成して、原作の三浦さんも観てくれて喜んでくれて、それが嬉かったです。」



瑛太と松田龍平のW主演のほか、鈴木杏、高良健吾など個性的な俳優が出演。独特の時間がながれる“まほろ”の町の個性的な住人たちを演じている。

「キャストは、基本的には自分で選びました。嫌な人だったら嫌っていう(笑)。二人とも草食系ではないですよ。酒飲んだらおっさんぽいし(笑)。演技は具体的な注文はしなかったですね。世代も近いし、勘がいいから気づいてくれる。説教くさいことは言わない。さらっと言った方が伝わるんですよね。音楽はくるりの岸田繋さんに依頼しました。脚本を書いている最中に、くるりを聞いていたので、良いなって思ったのがきっかけです。岸田さんとも家が近いことがわかり、飲みにいっている店も同じだってことがわかって、今では一緒に飲むこともありますよ。」

『まほろ駅前多田便利軒』は、東京郊外にある架空のまほろ市で便利屋をやっていた多田(瑛太)の所に転がり込んできた行天(松田龍平)と、その周囲に集まってくるクセのある人間たちが繰り広げる日常を描く。人間関係や家族関係がテーマ。

「今は個人主義が発達し過ぎてしまいいい時代じゃない。携帯や、メールが中心。それは愛されたいっていう願望が強いということの裏返し。みんな凄い寂しいんだよ。ちょっと領域を侵してくれる人がいると、不快なんだけど、内面では実はうれしかったりする。今の人たちに必要じゃないかな。そんな“まほろ”は架空の町、ありそうだけどなかなかない。理想郷だよ。希望って言葉はあまり使いたくないけど、大事な言葉だと思う。どういう風に幸せを感じられるのかってことを描きたいと思いました。ほんのちょっとだけ、やさしさが伝わって、明日は今日よりも良いって思ってもらいたい。」

映画『まほろ駅前多田便利軒』は全国公開中。
映画詳細はこちら


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3月23日 大阪市内
取材/写真・文 羽渕比呂司

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羽渕 比呂司
羽渕 比呂司
 大阪ガス行動観察研究所社員