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『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は、累計60万部発行、花沢健吾の同名のコミックが原作。本作が映画初監督の三浦大輔さんと、冴えないサラリーマン田西を演じた、バンド銀杏BOYZで活動する峯田和伸さんに話を聞いた。



『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は現在公開中
【】バンド・銀杏BOYZで活動する峯田和伸さん

峯田:田西の大ぼらふきなところは、見覚えがありますから共感できます。原作の漫画を読んでいるときから、なんでこんなに僕のことを描いているんだろって感情移入できたんですよね。決闘シーンは、僕だったら引き返しちゃうのに、そのまま行っちゃう。田西は、理想の男なんですよね(笑)。

 物語は、弱小の玩具メーカーで働く田西が、同僚のちはるを好きになり、近づこうとするが、29年間彼女無しの彼は上手くいかない。そこへライバルの玩具メーカーの青山が救いの手を差し伸べるのだが、会社を巻き込んだ大騒動へと発展。なぜか田西のハートに火が付いて命がけの恋に走り出す…。とことん冴えないサラリーマンの青春を描く。

三浦監督:映画は全10巻のコミックのうち、5巻までを描いています。本当は5巻目以降が、ボーイズ・オン・ザ・ランの本質なのかもしれないんですが、全部ミックスすると、内容が薄くなってしまう。今回は前提を作るまでをしっかり描こうって考えました。原作のエピソードはどれも面白くて、どれを入れるか慎重に選びました。

 三浦さんは、劇団ポツドールで活動、「愛の渦」で岸田國士戯曲賞を受賞している。「愛の渦」は、裏風俗を舞台にして、人間の性欲を真っ向から描いた作品。本作でも、テレクラ、風俗、女性への妄想など29歳の冴えない男の暮らしぶりをリアルに面白く描いている。

三浦監督:原作が、僕のやっている舞台に通じるものがあったので、出来たのだと思います。映画と舞台は、人を描くという根本は一緒だけど、技術や方法論は違う、思ったよりてこずりました。1回監督をやっただけではわからない部分が多いです。難しかったです。映像という表現で自分にしかできないことが何なのか、はっきりした答えが見つからないまま終わってしまった。やっぱり帰るところは舞台かなって思うんです。でも、もちろんもっと知りたい、やってみたいっていう気持ちはありますけど。

 主人公の田西は、デキル人間に仕事や彼女をとられ、悶々とした毎日を過ごす。それでいて見栄っ張り、一度走り出したら止まらないまっすぐな部分も持ち合わせている。

峯田:原作が好きで、映画化して欲しくないって思っていました。でも三浦さんが監督をやるって聞いて、ぜひやらして欲しいって言いました。映画の田西は、もちろん僕自身じゃないんですけど、原作の田西でもないような・・・監督と二人で生んだ違うキャラクターのような気がします。

三浦監督:せめぎあっている状態というか、緊張感、自分が演じているのかわからないそんな状態で演じてほしかった。漫画に似せるんじゃなくて、演じて乗らない部分は、セリフを変えたり、本人に近い状態に合わせたりする部分はありました。

 とことん冴えないサラリーマンだが、自分に大切なものはしっかり守り生きて生きたい。それは男なら誰でも自分に当てはまり共感できる。

三浦監督:自分には何もない、そういう焦りを感じている人たちに観て欲しいですね。楽しめる要素が詰まってエンターテイメントになっているので、女性にもぜひ観て欲しいです。男の生態というか、男はこんなんだってわかって欲しいです。男ってこんなバカなんだって感想でもいいですけど(笑)。

 花沢健吾の人気コミックが原作、三浦大輔監督、主演峯田和伸『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は全国公開中。




[取材:2月2日 大阪市内]
写真/文 羽渕比呂司

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羽渕 比呂司
羽渕 比呂司
 大阪ガス行動観察研究所社員