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2010年07月06日 配信

 満島ひかり主演『川の底からこんにちは』が公開される。物語は、父親の経営していた“しじみ工場”の後を継ぐことになったOL・佐和子は奮闘の毎日。しかし、これまでの仕事も恋愛も妥協しっぱなしの人生にみきりをつけ、逆行に立ち向かってゆく物語

 監督は、第26回ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞した石井裕也さん、本作はそのスカラシップ(PFFスカラシップ)で製作された。全編を通して、登場人物がいたってクールに描かれる、その一方で、しじみ工場のお局化したパートのおばちゃんキャラクターなど、笑いを誘う演出なども随所に散りばめられ、印象的に仕上がっている。


【】石井裕也、1983年埼玉県生まれ。大阪芸術大学の卒業制作で作った『剥きだしにっぽん』が注目を集める。

ある落語家が言ってたんですけど“笑い”を追求すると、悲しさが出てくる。逆に“悲しさ”を追求すると、どこかのタイミングで笑いに変わる。悲しさと滑稽さは表裏一体だと思うんです。僕は笑いが好きで“笑い”という現象には必ず人間ぽさがまとわりつく。人間ぽくないものは笑えないと思うんです。

僕の演出は、細かい方じゃないですかね。一番うるさくいうのは間、リズムです。半拍ずれただけでおかしくなるので、うるさくいいました。これまで自主映画をやってきて、キャストはほぼ素人を起用することが多く、その人の良さを如何に引き出すかっていうことしか考えてなくて、今回は満島さんですが彼女の良さを引き出すために頑張りました。でも、彼女がもっている尋常じゃないほどの推進力、力強さは、同世代の俳優さんに比べてもあるんじゃないかと思います。

今回は、PFFスカラシップで製作しました。スタッフがみんなプロ、技術面では安心できました。あと撮影のとき通行人を止めるとか環境も整っていました。でも、スタッフに年代が上の人もいたりと、自分の考えを伝えて、共有することが、これまでと比べると大変でした。

映画って脚本書いていても、撮影していても、大変で苦痛になるときもある。でも観てくれた人から「面白かったね」「ちょっと元気もらえたよ」それを言われただけで頑張れちゃう。そこしかないのかもしれないですね。

オフビートって結構言われるんですけど、基準になるものはないです。ドライな印象も僕の人生観。結構、ポップにつくったんだけど(笑)。あと女性の描き方も褒められるんですが、女性のことはわかんないし、女性性みたいなものは描こうとはしなかった。意地とか、開き直ったときの凄みを描きたくて、それを描くためには男より、女の方が抜けてくるものがあるんじゃないかと思って女にしました。佐和子を恋愛対象としてですか?それは厳しいものがあると思います(笑)。


満島ひかり主演『川の底からこんにちは』は、大阪・7月10日より、梅田ガーデンシネマほか全国順次公開される。

【公式サイト】川の底からこんにちは


6月16日 大阪市内
取材/写真・文 羽渕比呂司

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羽渕 比呂司
羽渕 比呂司
 大阪ガス行動観察研究所社員