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2010年09月07日 配信

 深田恭子、椎名桔平主演の映画『恋愛戯曲〜私と恋におちてください。〜』(9月25日公開)。15年ぶりの映画監督を務めた鴻上尚史さんは自身の舞台で一番映像にしたかった作品という。


 『恋愛戯曲〜私と恋におちてください。〜』は、深田恭子演じるスランプに陥った脚本家・谷山に、椎名桔平演じるTVプロデューサー・向井が、社運のかかったドラマのシナリオをなんとか書いてもらうよう懇願する、わがままな性格の谷山は「それじゃ、私と恋に落ちて!」と“強制恋愛”を迫ることから物語が始まる。

 劇中劇が展開され構造的な構成になっているのが特徴、深田恭子は小悪魔的な作家、地味な主婦、セレブな作家と3つのキャラクターを演じ分けている。2001年の初演、2006年の再演を含めると3万人以上を動員した同名舞台が原作の作品。



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(鴻上尚史監督インタビュー)
僕が書いたハッシャ・バイって芝居があるんです。夢の中に入っていって、さらに、その中に夢が何層にもなってるの。この前「インセプション」が公開されたとき、僕のやっているツイッターに、「似てるんじゃない」っていくつも投稿が出てきて、それで「インセプション」観にいきましたよ。僕は20年ぐらい前に書いてるんだけど、そんな迷宮感覚が味わえる話が好きなんですよ。

『恋愛戯曲』は、2001年、永作博美さん主演で行った舞台で初演の作品です。演劇の世界では台本が出来てこないってのは普通のことで、プロデューサーと書けない作家のコンビの話は面白いんじゃないかって思いました。でも男性作家と女性プロデューサーだと、自分のこと書いてるんじゃなかって言われるのがイヤで(笑)。あと、女性作家から「私と恋に落ちてください」っていう方がチャーミングかなって思ったので、女性作家と男性プロデューサーの話になっています。

この作品は演劇ではなくTVの世界の話。でも僕はテレビドラマを1本も書いたことがないんです。TVのプロデューサーと仕事したことがない。もし深く関わっていたらTV局内部の制作と編成と営業のゴタゴタなんて、生々しくて描けなかったと思います。

主人公の脚本家・谷本のように、書けなくなったとか、スランプに陥ったってことは無いですね。根がまじめ、責任感が強いので(笑)、締め切りも2、3日は遅れることはあるけど、それ位です。でもその遅れも、本当のデッドは今日じゃないって知っているから遅れるんです(笑)。



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1回目の舞台は永作博美さんが主演、2回目は牧瀬里穂さんが主演でした。舞台ではアラサー女性が主人公だったんだけど、20代の脚本家が大人を翻弄するって構図の方が面白いんじゃないかっと思って、映画では少し年齢を低く設定しました。

深田恭子さんを主演に選んだのは、破壊力のある人がいいって思ったからです。胸の谷間も含めたゴージャスな衣装が似合う人、「ヤッターマン」でドロンジョ役をやっていたのを観て、これは文句ない!って思いました。

深田さんは衣装のイメージを伝えると、それにふさわしいキャラクターになれるんですよ。 地味な衣装を渡した2階層目の芝居では、疲れた主婦がいたし、3階層目のゴージャスな作家では、裾が3メートル以上あって、胸の谷間が見えて、赤、という僕が注文を出した衣装だったんだけど、それで登場したら、もうその気になってました。



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この映画をみて、久しぶりだけど、恋愛してみようかなって思ってもらえたら嬉しいですね。例えばスポーツ。やってないときは、周りからスポーツした方がいいよって、いくら言われても「なんで?」って思ってしまう。でもスポーツクラブに行って汗を流すと、気持ちよくて細胞が若返る気がします。恋愛も同じ、必ず両想いになる必要はないわけで、ようはときめく経験をした方がいいよってことなんです。活性化して人生の潤いになる。そういう意味で結婚しているからとかではなくて、人を恋することって必要だろうって思うんです。

流行の草食系はまだいい方、最近は“草”になっている若い奴らが多い。傷つきたくないから、自らは動かないっていう人。そこそこの苦しみは、そこそこの喜びしかない。激しい苦しみをくれるものは、激しい喜びをくれる。片思いでも、飛び込むと素敵なのに、いろんな原動力になるのになって思います。逆に僕は惚れっぽくてダメ、イカンですな〜(笑)。

映画は15年ぶりです。テレビの短編やネットシネマって言って、ライブドアが出資して作った作品とか映像の仕事はしていたんですけど、ネットシネマ、あれは完成したとたんに例の騒動で無くなってしまった。どうなったんだろ、今さら怖くて聞けない(笑)。

映画はシナリオが出来たところから話をしましょうってなる、つまり締切りがないんです。演劇は、劇場を押さえたらやらざるをえなくなる。締切りがないものは結局、ずるずると後回しになってしまう。年2、3回公演していて、気がついたら15年経っていたって感じですね。人生あっという間、困ったものです。第三舞台の10年間の封印が解けるのは来年、さあ、どうなるんだろうねぇ(笑)。


『恋愛戯曲〜私と恋におちてください。〜』は9月25日(土)より公開される。
映画情報はこちら


8月30日 大阪市内
取材/写真・文 羽渕比呂司

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羽渕 比呂司
羽渕 比呂司
 大阪ガス行動観察研究所社員