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 映画『春との旅』が5月22日より公開される。公開に先立ち、4月14日、梅田ブルク7(大阪市北区)で行われた特別試写会で、小林政広監督と、主演の仲代達矢さん、徳永えりさんが登壇し、舞台挨拶を行った。


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 仲代達矢さんが、『春との旅』で演じたのは、北海道で暮らす元漁師・忠男。足を悪くし、漁に出ることはおろか、孫の春が居ないと日常生活もままならない。でも、ニシン漁で潤っていた頃の過去の夢を未だに忘れられないでいた。>>『春との旅』映画詳細はコチラ


仲代: 忠男は70を過ぎていた。私も77歳。喜寿を迎えています。年をとると、丸くなって、良いおじいちゃんになる、老人は弱々しいというイメージがありますが、忠男は元気のいいおじいさん、強くて死ぬまで頑張ろうっていう男です。

 忠男の孫で春役には、大阪出身の徳永えりさん(22)。春は小学校の給食係として働いていたが、学校が廃校になり職を失う。忠男は、春と暮らしているのは良くない。一人立ちさせるためには、春から離れないといないと考え、自分自身の面倒を見てもらおうと、ずっと疎遠だった親戚を尋ね歩く旅に出る。この物語の背景には高齢化、不況といった社会問題が描かれている。

徳永: 目をそらしてはいけない問題が描かれていると思いました。でも、やわらかいタッチで、とても繊細に書かれている脚本だなって思いました。

 北海道でつつましい生活を送っていた二人。これからも一緒に暮らすことができたならどんなにいいだろう、しかし社会はそうはさせてくれなかった。忠男と春の旅は、お互い仕方無しの旅、不満の旅だった。

仲代: 二人で一緒の旅をする映画、撮影もずっと一緒、だから撮影初日に、徳永さんとは、これまで共演したことがなかったから、飯を食いに行こうよって、寿司屋に行ったんです。明日からもよろしくって。そしたら二人とも、監督に猛烈に怒られたんです(笑)。家からおじいさんが飛び出てくる、春がその後を追いかけてくる、反目しながらの旅が続く。仲がいいと困るので、一切口をきくなってことでした(笑)。

?永: 孤独との戦いでした(笑)。でも、完成した作品を観て、それが正解だと思いました。すごく良い勉強になりました。

仲代: 昔僕は黒澤監督の映画で、三船敏郎さんに斬られる役をずいぶんやりましたが、敵同士になるので、黒澤監督は殆ど口を聞かさなかった。殺気を失わないようにって。昔の映画監督はこんな要求もしたんです。もちろん小林監督は昔の監督ではありませんが、昔風の監督気質を持っている人だなって思いました。それにしても?永さんはかわいそうでしたよ。ずっとひとりホテルで孤独にいたんだから(笑)。

 小林監督は、フォーク歌手、シナリオライターとして活動後、1996年「CLOSING TIME」で監督デビューした。本作の脚本も手がけたが、約10年あたためてきたものだという。監督自身、年を重ねてきたからこそ書ける部分もあり、仲代達矢さんとの出会いもあり、決して無駄な時間ではなかったと語る。

?永: どうしても観て欲しいと思い、今日のこの試写会に祖父母を呼んでいます。仲代さんのようにパワフルに生きて欲しいっていう気持ちを込めて・・・。皆さんも観て何かを感じてもらえれば、それだけで私は幸せです。

仲代: 私は、俳優生活60年、出演した映画は160本になります。そのなかで『春との旅』は、5本の指に入る映画だと思っています。どうぞご覧になってください。

『春との旅』は、5月22日より全国ロードショー公開される。



◇関連情報
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[取材:4月14日 梅田ブルク7(大阪市北区)]
写真/文 羽渕比呂司

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羽渕 比呂司
羽渕 比呂司
 大阪ガス行動観察研究所社員