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2010年11月09日 配信

『武士の家計簿』(12月4日公開)は、江戸時代後半、会計処理の専門家として加賀藩の財政に代々携わってきた猪山家の物語。猪山家は、家計が破綻をしそうになったとき、恥も外聞も捨て家財一式を処分、それ以降、日々の支出すべてを家計簿に記して家計の立て直しを図って行く。森田芳光監督と主演の堺雅人さんが大阪市内で会見した。



(堺)
脚本を読んで面白いなって思いましたね。考えると刀を抜かずに死んでいったお侍さんが殆どだし、舞台が金沢っていうのも面白いなって思いました。演じた猪山直之は理系人間、でも僕は小三の通分でつまずいたほど、算数ができない文系人間、こんな文系の僕が理系人間を演じることが、自分のなかでどこか可笑しかったですね。

(森田監督)
時代劇は、立ち回りやチャンバラに焦点を当てたものだったけど、普通に考えれば、恋愛、ホームドラマがあったわけで、今回は時代劇のテーマとして、新たに鉱脈を見出した映画だと思います。

(堺)
息子に責められるお父さん、親子の葛藤は面白かったですね。大義名分とかそういうのではなく、日常の仕事を淡々とこなしてゆくカッコよさは、大人にしか出せない魅力のような気がします。幕末の志士とはちがうけど、でも幕末の志士とも引けを取らない魅力的な人物だと思います。そろばんのシーンは、立ち回りぐらい大変、疲れました。そろばんは、小学校の授業で何度か触ったぐらいでそれ以外では経験がありません。1ヶ月ぐらい前から特訓しました。でも、上達のスピードが遅くてとても撮影には間に合わない。それでいろんな方の協力を得ながら、うまく見えるいろんな技を駆使して(笑)。そろばんの技術をごまかさすのが、今回の役作りでした!




古書店で偶然発見された猪山家の家計簿をもとに書かれた「武士の会計簿 加賀御算用者の幕末維新」(新潮新書)が原作。家計簿を読み解くと、そこには家族の愛と知恵で危機を乗り越え、懸命に生きた武士の姿が明らかになってゆく。


(堺)
映画は質素倹約の話。ケチケチしたちっちゃな話になっていたかもしれないところを、猪山家の三人の女(仲間由紀恵、松坂慶子、草笛光子)は、華やかさ、ピンチをものともしない明るさが感じられて、風通しの良さを家族に感じました。特に仲間由紀恵さん演じる妻のお駒は、母としての強さ、生命力を感じていたので、頼りがいがありました。

(森田監督)
子どもに教えるって大事だと思いましたね。僕もおばあちゃんに、歌舞伎座や新橋演舞場に連れていてもらってそれがいい経験になっている。情操教育というか、自分の好きな音楽を聞かせたり、好きな漫画をそっと置いておくだけでもいい。この映画をみたら、何かを教えた方がいいと思いますね。



『武士の家計簿』は12月4日(土)より全国公開される。
映画情報はこちら



11月1日 大阪市内
取材/写真・文 羽渕比呂司

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羽渕 比呂司
羽渕 比呂司
 大阪ガス行動観察研究所社員