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2010年08月09日 配信
大阪を訪れたクリス・サンダース監督(写真右)とディーン・デュボア監督(写真左)

 ありえないはずの二人の友情がやがて世界を変える奇跡を起す─。ドリームワークスの最新3Dアニメ『ヒックとドラゴン』が大ヒット公開中だ。大阪を訪れたクリス・サンダース監督(写真右:以下、クリス)とディーン・デュボア監督(写真左:以下、ディーン)にインタビューを行った。


『ヒックとドラゴン』は、勇ましく生きるバイキングと、野生のドラゴンが長年戦いを繰り広げている世界が舞台。少年ヒックの前に現れた傷ついたドラゴン・トゥース。次第に二人の距離が近づいてゆくのだが、これまでの戦いの歴史が邪魔をするのだった・・・。
 クリスとディーンのコンビによる監督では、「リロ&スティッチ」が世界的大ヒットとなったことで話題を集めた。本作では二人にとってはじめてのCGアニメ、3D映画に挑戦した。


二人にとってはじめてのCGアニメ、3D映画

(クリス)
この作品は、ファンタジー・アドベンチャーなので、3Dが生きるチャンスだと思ったよ。3D映画で問題になるのが、3D効果をいかに新鮮に保つかってことなんだ。3Dを多様しすぎると観客は慣れてしまって3Dの効果が薄れる。だから、わざと3D効果を浅くしたり、深くしたりとメリハリをつけて、3D効果を新鮮に保つために努力したんだ。

(ディーン)
僕たちがこの作品を作るとき、インスピレーションを受けたのは「少年と馬」という映画。言葉無く少年と馬が信頼関係を築いてゆくんだけど、それが音楽とダンスのような動きだけで表現されているんだ。ヒックとトゥースが心を通わす場面は、この映画へのオマージュ、とくに注意深く作り上げたんだよ。


宮崎アニメの大ファン!

(クリス)
全体を通してトゥースを動物のまま留めておこうって注意を払ったね。アニメーターにとって、動物を人間ぽく描きたいという誘惑にかられるものなんだけど、漫画っぽいのはこの二人のシーンだけだよ。

(ディーン)
僕とクリスは、宮崎アニメの大ファン!クリスは『天空の城ラピュタ』が好きなんだけど、僕は『となりのトトロ』が好きで、繊細かつリアルに家族が壊れているということを描写しつつ、それと対比してファンタジックな生き物が描かれている。最初、見たときは深いインパクトを感じたよ。『リロ&スティッチ』はとても影響を受けてるよ。

(クリス)
宮崎アニメに付け加えると、強い女性のキャラクター、セリフの無いシーンも怖がらずに使っているのが特徴だね。

(ディーン)
今回はドラゴンの映画だから、主人公はドラゴンの背中に乗って飛ばないといけないだろって思ったんだけど、単純にドラゴンの背中に乗って飛ぶっていうのは、もう使い古されて、みんな飽きているんじゃないかって思ったんだ。だから、ドラゴンが傷ついていて、器械で補うことで、もう一度飛ぶことができるってことにしたんだ。特に飛行シーンは、『紅の豚』『風の谷のナウシカ』の影響を受けてるよ。


実写映画を撮るのが夢

(ディーン)
僕たちの強みは、同じような映画やストーリーが好きなこと。それと二人でお互いになまけているんじゃないかって注意し合えること(笑)。あと、クリスは、一つ一つのシーンにこだわって、印象深いものにしてゆくね。僕たちの映画が他のドリームワークスの映画と違うのは、笑いをとるためにジョークや、ポップカルチャーを引用しているものが多いなか、僕たちの映画は、状況に寄ったユーモアを取り入れていること。キャラクターも欠点があったり、へんなところがあるのが好きなんだ。これからも大事にしていきたいと思っているよ。世の中には多くの面白くない映画には、監督にもうひとり監督をつけてペアにしてあげると、良い映画がもっと生まれるんじゃないのかな(笑)。

(クリス)
今回は、初めてのCG映画、しかも3D。デジタル機器に囲まれたり、新しいツールを学ぶことはとっても楽しいことなんだけど、でもやっぱりフィルムも好きなんだ。高価なフィルムカメラも持ってるんだけど、フィルムが完全に無くなるまえに、実写映画を撮りたいって思っているんだ。

 『ヒックとドラゴン』は全国公開中だ。



6月28日 大阪市内
取材/写真・文 羽渕比呂司

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羽渕 比呂司
羽渕 比呂司
 大阪ガス行動観察研究所社員