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「空中庭園」から4年、渾身の『蘇りの血』公開中!豊田利晃監督インタビュー


 「空中庭園」以来、豊田利晃監督の4年振りの作品となる『蘇りの血』。歌舞伎や浄瑠璃の演目にもなっている“小栗判官”をモチーフに日本古代が舞台の独特の世界で物語が展開する。映画詳細はこちら>>



 豊田監督は、神話や寓話の世界、そして荒々しい自然と人間の持つエネルギーがテーマだと語る。数年間、全国を旅している最中にインスピレーションを受けた。

「熊野のつぼ湯に入ると、壁に大きく、由来の物語が書いてあるんですよ。その時、蘇りっていう言葉が面白いなって、興味が湧きました。こんなズバリなタイトル付けて良いのかってちょっと思ったけど(笑)」

 主演は中村達也さん。豊田監督とはバンドTWIN TAILとして一緒に活動し、映像と音楽を組み合わせたライブ活動を行っている。

「3年ぐらい、TWIN TAILとして活動をして、音楽のDVDをつくろうってなったんです。でもミュージシャンの音楽ビデオは普通なんで、どうせやるなら映画にしようって盛り上がって、この映画はそれから始まったんです。」


 青森県の下北半島を中心に撮影が行われた。時代劇とも違う、古典的な神話の世界観を描くため岩場や、険しい森といった場面が多い。

「ロケをした場所は、一応観光地になっているので、撮影は公園が閉まった4時から準備を始めて、夜中に撮影がスタート。朝、開園する10時までが撮影の時間。海岸へは漁船20隻位を束ねていったり、森の中の撮影では、山道を30分ぐらい歩いたり。機材の運搬をお願いした地元の建設会社の人も、これまでの仕事で一番キツイって言っていたぐらい。下北半島全面協力で撮りました!」

 予算の都合で10日間だけという強行スケジュール。しかも10日のうち2日は徹夜という。

「周囲に支えられて作れたんだと思います。すごい低予算な映画で、スタッフ、キャストみんな持ち出しで参加してくれました。でも、美術部が20人位いたり、5億の映画よりスタッフが多かったんじゃないかな(笑)」

中村達也扮するオグリは、大王に殺され無念の死を遂げる。あの世の手前は門番(板尾創路)が待ち受けていて、そこで「天国でも、地獄でも好きな方へ行かしてやる」と言われる。まさに蘇り。コミカルに描かれた門番とも相まって印象に残る場面だ。


4年振りの作品『蘇りの血』の豊田利晃監督

「あの板尾さんが、僕の死後のイメージです。みんなもなんとなく抱いているイメージじゃない?(笑)。もし今、あの門番の前に行くようなことがあったら、戻れるものなら、戻ってきます。やり残したこと多いですから。でも姿も性別も変えられるなら、変えてみたい気はありますね。」

 豊田監督とって4年ぶりの作品となった「蘇りの血」。シンプルなストーリー構成を、主演の中村達也、映像に重なる音楽によって、独特の世界観を作り上げている。タイトルには自身の映画にかける思いが集約されているようだ。

「次の企画ですか?来年撮ります。現代劇をやりたいですね。借りを取り返したいですね。大阪でも撮りたいですね、でも、地元だから、半端なことできない。いい題材あったらください!!」

「空中庭園」の豊田利晃監督、4年振りの新作『蘇りの血』は全国公開中だ。


[取材:11月24日大阪市内]
写真/文 羽渕比呂司

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羽渕 比呂司
羽渕 比呂司
 大阪ガス行動観察研究所社員