このエントリーをはてなブックマークに追加

 私が横たわるそのすぐ脇に、助産師さんが踏み台をセットした。

「今度はちょっとお手伝いしますからね」と言われ「はい、お願いします」とは言ったものの、何をどう手伝って頂けるのか私は想像できなかった。 そんなことより陣痛の波がまたやってくる。分娩室に入り、導尿などお産の準備を整え、息み始めて7~8回目だろうか。病室では足の間から飛び出したがるボーリングの玉のような重く大きなかたまりをなんとかお腹にとどめておくよう耐え続けていた。

だから、分娩室に入ってから思いきり息んでもいいと言われ、私は思わず「じゃ、もう出してもいいんですか?」などと間の抜けた質問をしてしまった。 しかし、あんなに飛び出てしまいそうだったのに、寄せる陣痛の波、つまり子宮収縮のたびに息んでみるものの、いざと言うと中々簡単に出てこない。「もう髪の毛が見えてきたよ」「あと少し」と言われてからも、それは思うようには動いてこなかった。 長い闘いになるのかもしれないと思ったその時に、助産師さんがお手伝いをすると言って下さったのだった。 そして、次の陣痛がやってきた。

 痛い。出したい。そう思いながら冷や汗をかく私の横で、助産師さんは踏み台にのぼって立ち上がると、見上げるほどの高さになった。 そして、「深呼吸~。もう1回息を吸って~、止めて~。しっかり目は開けて~、取っ手を引き寄せるように力を入れて~!んんんんん~!」と言われ、言われるままに息んでいると、看護士さんはその高さから私のお腹に添えた両手にぐーっと体重をかけてきた。

The following two tabs change content below.
諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/